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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第三章 獣の国
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第22話 騙されたのは聖剣でした。

 カノアとの打ち合わせが終わり、国王への謁見の注意事項をカノアに聞くことにした。


「なんだお主、ルールほとんど読んどらんのか?

 ギルドにルール本が置いてあっただろう?」


「えっ?

 私、受付嬢から聞いただけで、ルール本のことなんか聞いてないんだけど?」


「たぶん、お主に絶対に知られたくないルールが書いてあるのだろうのぅ。

 例えば、奴隷が3位以内に入ったら、所有者も謁見する必要があるとかのぅ。」


「ん?………今、なんて?」


「だから、奴隷が3位以内に入ったら、所有者も謁見する必要がある。と言ったのだがのぅ。」


 これは…、騙された…。

 国王との謁見確定しましたか…。

 そうですか…。


 つまりこういうことか。

 (一般の冒険者は)謁見するのは結果を残した人のみです。(奴隷の場合は、所有者もだけど。)

 なるほど。


 おのれ、受付嬢め…。

 やってくれたな。


 いや、碌に確認しなかった私のミスだけどさ。


 結果的には、マーガムとマルムを強くすることが出来たから、それで良しとしよう。


「他にも3位以内だと、ダンジョンに入る許可が貰えるが、踏破するまで一定期間、国に仕官せねばならん。」


「…まじか。

 私、騙されすぎじゃない…?」


 ダンジョンは早くクリアする必要が出てきた。


「まぁ、意図的に情報を絞られたんじゃろう。

 お主の能力は確実に国が欲しがるレベルだからのぅ。

 実際、わしもお主のことが欲しいからのぅ。」


「わしも…?

 あなた実は偉い系の人?」


「言っとらんかったか?

 わしは、龍王カノア、火龍王という地位に就いておる。

 龍の国(ドラウ)では、2番目に偉い地位だのぅ。

 まぁ、他に8龍わしと同じ地位の奴がおるがのぅ。」


 本当に偉い人だった。


「なんで龍王が、獣の国(ビーノ)にいるの?

 宣戦布告とかにならない?」


「わしは龍王の中でも若い龍王でな、ダンジョンを攻略せんと、龍王として認められんのだ。

 龍王モドキみたいなものだから、他の国に居ても問題ない。」


 ホゾンのダンジョンだったら、私並みのステータスが無いと無理だし、龍王厳しいな。


「ここのダンジョンは、ボス戦が1対1の決闘方式らしくてのぅ。

 わし好みのダンジョンだったんだのぅ。

 やはり、血沸き肉踊る戦いこそが、わしの生き甲斐だからのぅ。」


 この龍王、戦闘狂じゃない?

 真っ先に私と戦おうとしないから、戦闘狂では無いのかも…、


「謁見に臨む前に、軽く戦わぬかのぅ?」


「お断りします。」


 訂正、戦闘狂だった。


「まぁ、機会があれば戦いたいのぅ。」


「この子達に手を出したら跡形もなく消し去ってあげるからね?」


「わかっておるのぅ。

 それに、自分の欲望の為に誰かを傷つけるなどという行為は、戦いを楽しめぬからのぅ。」


 一応、釘は刺しておく。

 まぁ、カノアはむしろ護る側だろうから、大丈夫だと信じてるけどね。


 話し合いが終わり解散した私達は、それぞれの宿に戻っていった。


 しかし、私達の後ろをカノアが付いてくる。


「なんで付いてくるの?」


「わしの宿もそっち側なんだから仕方ないのぅ。」


 確かに、宿屋がまとまっているので、そういうこともあるのか。


 その後も、カノアはずっと付いてくる。

 そして、私達が宿にたどり着いた時には、同時に扉を開いていた。


「「同じ宿なのね?!(とな?!)」」


 私達の驚きはそこで終わらなかった。


「隣の部屋なのね…。」


 国王に謁見するのは明日なので、私達はいつものようにお風呂に入ってから寝た。



□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□



 ついに、謁見の時が来てしまった。

 服装などは自由ではあるが、綺麗な服装などが基本だろう。


 私達は着替えた後、国王との謁見に向かった。


 部屋を出るとカノアも同じタイミングで部屋から出てきた。


 カノアの服装は、まるで軍服のような感じの黒を基調として赤色のラインの入った服装だった。


 どうやら龍王としての正装らしく、私服も同じらしい。

 闘技大会の時に普通の服装だったのは、龍王とバレるのを防ぐ為だったようだ。


 対する私達は、マーガムがスーツで、私とマルムはドレスだ。

 あんまり着なれていないマーガムとマルムは

、動きにくそうだ。


 私達は、王城から来た馬車に乗って王城へと向かった。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


「まさか、闘技大会に龍王がいるとは、いやはや予想しておらんかったな。」


 国王は犬の獣型獣人で、顎を擦りながら私達を観察している。


「わしはまだ若い龍王でのぅ。

 ダンジョンに入る許可を貰う為には闘技大会に出る方が確実で、強者と戦えるやもしれんかったからのぅ。」


「なるほど、最近噂の火龍王とは貴殿のことか。」


 他国で噂になるほどの戦闘狂なのね…。


「まぁよい。

 強者を求めるのは良いことだ。

 ダンジョンに入る許可を授けよう。」


 この場にいる私達とカノアとAブロックの勝者が、敬礼する。


「奴隷が3位に入るなど、獣の国(ビーノ)の歴史上2回しか無かったことがまさか余の代で起きてくれるとは。

 余は感動している。

 して、その育成方法を聞きたいのだが。」


「奴隷に対しても普通の人間と変わらずに接すること、そして投資を惜しまないことですかね。」


「なるほど。

 では、褒賞を与える。」


 褒賞…?

 また、聞いてないんだけど…。

 カノアの方を見ると、カノアと目が合ったが、カノアがすぐに目を逸らした。


「カノア殿には、白金貨10枚とグレッドドラゴンの魔石を与える。

 マーガムには、白金貨1枚とオーガの魔石を与える。

 カリスには、オークの魔石を与える。

 以上で謁見を終了とする。」


 今初めて聞いたんだけど、Aブロックの勝者の名前。

 まぁ、どうでもいいけどね。

 どちらかといえば、グレッドドラゴンの魔石の方が興味はある。


 謁見が終了して、解散した私達は何故か付いてくるカノアと一緒に街を見て回り、明日のダンジョン攻略に必要な食糧や、マーガム達の装備を買い揃えた。


 明日はついに、獣の国(ビーノ)のダンジョンだ。

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