幕間 マーガムの戦い
マーガム視点での闘技大会です。
僕は、闘技大会に出ることになった。
ミナさんも許してくれたので、優勝を目指して全力で頑張ることを、ミナさんから貰った武具に誓う。
ミナさんが、僕にスキルオーブを使用させてくれた。
本来、スキルオーブはとても価値の高いもので、貴族ですら買えない額に到達するほどの超レアドロップだ。
スキルは基本的に産まれた時に持っているか、職業のレベルを上げて増やすしかないのだ。
それを、奴隷の僕に使わせてくれるミナさんは、とてもすごい人だと思う。
ギルドの地下で行った特訓は、正直何度か死ぬかと思ったけど、絶対に大怪我はしなかったし、小さい怪我でも、特訓が終われば、ミナさんがポーションを使ってくれるので、生活に響くことも無い。
こんな環境で、特訓させてもらえる奴隷なんて他にもいるとは思えない。
しかし、ある程度の攻撃が防げる様になったら、「次のステップね。」と言って、ミナさんが《剣舞》で隙を徹底的に突いて来るようになった。
大きな隙を極力無くして、隙を誘いとして使用することを、体が覚えるまで特訓は続いた。
闘技大会前日の訓練最終日には、ミナさんの《神速抜刀》をなんとか防げるまでになった。
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~闘技大会予選~
ミナさんと別れてから、僕は選手控え室に向かう。
扉を開けて中に入ると、すでにほとんどの出場者がいるようで、すごく蒸し暑い。
ほとんどの冒険者が、僕のことを奴隷として見るため、当然のようにガラの悪い冒険者が絡んでくる。
「お前の所の御主人様は、奴隷をいたぶる趣味があるようだなぁ。
ところで、お前の持っている武器を俺らに使わせろよ!」
僕は武器に触れさせること無く、ガラの悪い冒険者を殴り飛ばす。
すると、警備の人間が入ってきたので事情を話して、飛ばした冒険者を回収してもらった。
大会が終わった後、ミナさんにその事を話すと、「そこは、警備の人間もグルっていうのが常識のはず…。」と言っていたけど、よくわからなかった。
そして予選が始まり、僕のブロックの戦いの番になる。
僕は開始地点から動かずに、盾を構えて近付いてくる冒険者だけを戦闘不能にしていく。
しばらくすると、僕と筋骨隆々な冒険者だけが、ステージ上に残った。
大男の一撃は、基本的には重い一撃ではあるが、構えが大きく隙だらけだった。
僕はランスで反撃したり、盾全体で相手に向かって突進したりして、ダメージを与えていった。
しばらくすると、大男が武器を置いて降参を宣言した。
会場が歓喜と悲鳴に包まれた。
どうやら、ミナさんが僕に賭けて大勝したらしく、ギルドタグを持つミナさんの手の震えが止まっていないけど大丈夫かな?
美味しいご飯とお風呂に入ったことでリラックスできて、明日のためにしっかり寝ることが出来た。
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~闘技大会本選~
ミナさん達と別れてから、選手控え室に案内されてから僕は精神を統一する。
対戦相手が抽選で決まり、僕の相手はAブロックの勝者だった。
僕は、訓練通りに動くことが出来て、怪我をすることも無く勝つことが出来た。
決勝戦の対戦相手はDブロックの勝者のカノアという人に決まった。
カノアさんは髪の毛と目の色が、炎のような綺麗な赤色で、見た感じの年齢は20歳くらいに見える大人の女性だった。
カノアさんの武器は、拳に真っ黒な籠手を着けていたので、拳そのものかな?
僕とカノアさんが礼をして武器を構えてから試合が始まった。
礼をし終えるとほぼ当時にカノアさんが動く。
僕は咄嗟に盾を構えて、なんとか受け流す。
そのあとも、カノアさんの猛攻は続いたけど、なんとか凌ぎきった。
すると、カノアさんが動きを止めた。
「お主はなぜ、そんなに強いのだ?」
「ミ……いえ、御主人様のおかげです。」
「そうか、いい主人に出会えたようで何よりだのぅ。
だが、ここからは今の状態で出せる本気で戦わせて貰うぞ?」
そういうと、凄まじい速度で直線的に突っ込んできた。
僕はなんとか受け流そうとしたのだが、受け流している最中の盾に、受け流す方向の反対に打撃を加えられ、受け流せずに壁に叩きつけられる。
僕は、《獣化》と《身体強化》を使用して、次の一撃を受け止める。
「なぬ?!
わしの全力を受け止めるとは、お主いったいどんなステータスしとるんかのぅ?」
ようやく、カノアさんの一撃を止めることが出来た。
カウンターでランスで突くのだが、当たる瞬間に後ろに飛ばれて、ダメージにはならない。
攻防を繰り返していると、カノアさんの一撃を受け止めようとした時、《獣化》が解けてしまった。
僕は咄嗟に受け流すように盾を動かそうとした時、上からミナさんが降ってきて、カノアさんの一撃を両手で受け止めた。
「やっぱり凄い…。」
僕は思わず声を出していた。
《獣化》を使ってようやく受け止めることが出来た一撃をなんの強化も無しに受け止めたのだから。
それでも僕は騎士だから、ミナさんやマルムを護れるぐらい強くなりたい、と強く思うようになった。
僕がそう思っていると、ミナさんが何かに気が付いた様な声を出して、カノアさんがニヤニヤしていた。
ミナさんとカノアさんがいくつか話した後、ミナさんが飛ぶように(実際飛んでいったのだが)逃げていった。
表彰式が終わった僕がミナさんと合流しようとすると、後ろからカノアさんが付いてくる。
どうやら、ミナさんに僕に付いてくる様に言われたらしい。
カノアさんとミナさんが、ダンジョンに入る時の立ち位置や戦闘方法の確認をして、国王と謁見した翌日に、ダンジョンに入ることになった。




