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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第二章 ホゾンの街
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第16話 ダンジョン最奥と報酬

 私達は転送され、光が収まると同時に周囲を把握するために、私は《剣域》を発動した。


 超巨大オーガブレードを作ったお陰で、かなり広い範囲を認識することが出来るようになった。


 《剣域》によって周囲の状況を把握したけど、この場所はどうやら居住区らしい。

 建物は、透明な壁で出来ているのに壁の向こうは見えないという不思議な素材が使われていた。


 建物の中で人型のなにかが、人間と同じような生活しているのが認識できる。


 足下に光でラインが引かれていて、私達はそのラインの上を歩いていく。


 しばらく歩いていると、宮殿のような建物に到着した。

 すると、扉が自動で開いて、足下の光が扉の向こうに引かれていく。


 光に付いていくと、そこには若い少女がいた。


「やぁ!

 君達は久しぶりの踏破者だ!

 最近は挑んできても10階層で止まっちゃうから、せっかく作った試練も無駄になるところだったから、踏破者が出て来てくれて私も嬉しいよ!

 まぁ勝てるとか思っていなかったけどね!」


 勝たせる気が無いんじゃ無いかと思ってたけど、実際勝たせる気がなかったのね。


「クリア報酬ってやつ頂戴。」


「せっかちだなぁー、君は。

 そんだけ急いでいると大切な物を失ったことに気が付けないよ?

 まぁ、クリア報酬は渡すよ。

 利き手を手の甲を上にして出して欲しい。」


 よく分からないが言われた通りに右手を出す。

 すると少女が、「“贈与(ギフト)”」と言った。

 すると、私の手の甲に紋章が刻まれる。


「その紋章はスキル《時空間収納(アイテムボックス)》が使えるようになるものだよ。

 効果は、質量と時間を無視して君の手の甲にしまっておけるという物だよ。

 獣人の子達も、手の甲をこちらに出して欲しい。」


 どうやら、マーガムとマルムにも、《時空間収納(アイテムボックス)》を貰えるようだ。


 マーガムとマルムの手の甲にも、私と同じ紋章が刻まれる。


 私は、その間に《時空間収納(アイテムボックス)》の中に魔石を収納していく。


「これでクリア報酬は渡したから、私としては話は終わりなんだけど、まだ話さなきゃいけないことがあるんだよねー。」


 私としてはすぐに帰りたい。

 直後、少女の気配が若干変わり、少女が話を続ける。


「その紋章は証だ。

 君達がこのダンジョンをクリアした証。

 そして君達には、あと6つの紋章を集めて欲しい。

 別に願いが叶うとかじゃないけど、きっと君には必要な物だと私は思ったよ。」


 必要な物だと言われると、集めなければいけない気がする。

 それに、一回集め始めると夢中で集める収集癖がちょっとだけ顔を出す。

「とりあえず、無理しない範囲で集めるよ。」


「ところで君は、何者なのかな?

 少なくとも最後の漆黒龍に勝つには、Lv200の勇者がパーティーに2人居ないと勝てない筈なんだけどなぁ?」


 まぁ別に他言しないなら教えてもいいかな?

「私は聖剣ミナ・ルシーナ。

 人の記憶と意思を持った神造兵装ってやつみたい。

 まぁ、私は自分が人間だと思ってるよ。

 自分がスペックが異常に高いだけの…ただの人間だとね。」


 少女は口を開けたまま、ふさがらない様子。

 と思ったら、マーガム達も似たような反応だった。


「すんませんしたー!

 まさか神の眷族様だとは知らず、どうかご容赦をー!」


 態度が180度変わったんだけど。

 あと神の眷族でも無いんだけど。


「私は、神の眷族じゃないよ。

 それに私はこの世界を見て周りたい。

 すべての人種と仲良くなってみたいんだよ。」


「それは素敵だね!

 良かったー!神の眷族様だったら私、死んでたよ…。」


 きっと、この少女にもいろいろあるんだろう。

 だって口調が元に戻ったもんね。

 あと、やっぱり神様関係は物騒だ。


「私達はそろそろ帰りたいと思ってるんだけど、魔法陣はどこ?」


「あぁ、案内するよ!」


 しばらく歩くと、魔法陣がある部屋にたどり着く。


「最後にいくつか言わせてね。

 なんだよ!君の性能ぶっちぎりのチートじゃん!

 チート持ちの勇者ですら、大概だなって諦めてたのに、君を見たら勇者なんかスペック不足もいいとこだよ!

 でも、楽しかったよ!

 そのチートで他のダンジョンも蹂躙してあげてね!

 あとは…

 君達の行く末に幸福があるように祈ってるよ。」


「短い間だったけど、私は楽しかったよ。

 あなたも元気でね。」


 私達は魔法陣を起動して、ダンジョンから脱出した。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 前回と同じ場所に戻った私達を待っていたのは、涙で顔面を崩壊させたギルドマスターだった。


「良かった。

 生きていたか。

 お前さん達がダンジョンに潜ってから4日は経っているからな。

 普通、そこまで長くダンジョンに入る奴はいないから、死んだかと思ったぞ。

 ところで、どこまで進んだんだ?」


「それは、心配をおかけしてすいません。

 到達階層は最終階層の40階層です。」


「…は?」


 周りの人間が固まった感じするんだけど…。


 私達は魔石を換金せずに、ギルドから出て来た。

 誰も硬直が解除されなかったからね。


 [食事処 平等謳う精霊亭]に向かったのだが店が開いてなかったので、近くのレストランで食事をした。

 前回泊まった宿で一室借りて、体を洗った後にいつも通り小の字で寝た。



□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 ~硬直から抜け出したギルドマスター~


「このダンジョンは40階層のダンジョンだったのか。

 お前さんにはどんなモンスターとボスが出たのか…、

 …って居ないじゃねぇか!

 絶対に見つけ出して情報を聞き出せ!」


 その日、ギルド職員達は寝られなかったらしい。

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