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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第三部 第一章 上位世界
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第25話 連携

 戦闘は私優位に進んでいる。だが、一手間違えればすぐに劣勢になるような微妙な優位だ。

 もちろん聖煌大絶剣(ヴァーン・レイテ)の銀に煌めく炎や黒神剣(クロス)の邪神としての力、そして私が持つ管理者権限を全て使って………だ。


 普通の神ならここまでやらなくても勝てるが、やはり創造神と言ったところか、創造神を戦闘不能にするまで押しきれない。

 やはり、転移させられる危険性がある以上、迂闊な攻撃は創造神に世界を破壊する時間を与えるだけになってしまうので、転移はさせられたくない。


 それに私にも奥の手があるように、創造神にも奥の手がいくつか、あるいは大量にあるだろう。

 そんな相手に対して無策で戦うのは自殺行為だ。なので、いくつか創造神が奥の手を使わざるおえない状況を作り上げるしかない。

 だが、そんな状況を如何にして作り上げるか、少なくとも私1人で出来る物でなければならず、さらに創造神に気がつかれずに、そんな状況を作り上げる。それだげでもとてつもなく難易度が普通とはあきらかにかけ離れている。


「どうした?まだ何かあるだろう?」

 奥の手では無いが私と聖煌大絶剣(ヴァーン・レイテ)の連携攻撃を使うことにした。

 だが、黒神剣(クロス)は私から生まれた訳ではないので、完璧な連携は不可能だ。なので、黒神剣(クロス)は一旦《時空間収納(アイテムボックス)》に創造神の攻撃をギリギリでかわしながらしまう。


「よし、行くよ、聖煌大絶剣(ヴァーン・レイテ)!」

 聖煌大絶剣(ヴァーン・レイテ)を両手で構えながら創造神に向かって《過程省略》で移動して横一線に斬りつける。だが、ギリギリで回避され薄皮1枚斬るだけになってしまう。

 《過程省略》で斬らないのは、《過程省略》だと創造神の絶剣で防御された際に聖煌大絶剣(ヴァーン・レイテ)を転移させられてしまうことを警戒してのものだ。それならば《剣神》による剣技によって創造神の攻撃を紙一重で避けつつ斬る方がギリギリで止めることが出来るのでよっぽどいい。

 ここまでだとただ普通に攻撃しただけで、連携なんてしていないように見える。というかしていない。

 だが、()()の連携攻撃はここから始まる。


「もらったっ!」

 私が振り抜いた瞬間、創造神が絶剣を振るう。それはタイミングとしては最悪で私に直撃するほどの至近距離であり、《過程省略》でも回避は不可能な状態だった。しかし、聖煌大絶剣(ヴァーン・レイテ)が人型に、私が絶剣へと変化することで私のサイズが変化して回避することに成功する。もちろん変化した時に手が離れている、なんてことは存在しない。


 そして変化した次の瞬間ヴァーン・レイテが私を振るう。

 剣となった私が振るわれた後には銀の軌跡が残り、その軌跡に創造神が近づいた瞬間、軌跡から斬撃が飛ばされ、完全に虚を突かれた創造神に大ダメージを与えることに成功する。


 ………、私が意図して行った攻撃では無いため予想だが、おそらくマーガムから概念 絆で《遠隔防御》を借りてきて私が通った軌道に極小の壁を配置、配置された壁に薫の《正違混合》を発動させて剣としての性質を付与し、概念 斬撃によって斬る性質を強化、《剣神》によって聖剣を動かすように近づいてきた創造神を攻撃した。

 おそらくはこういう感じのスキル等の使われ方をしたんだろう。


 形勢は完全に私に傾いた。

 そう思いヴァーン・レイテと連携して創造神を倒すために攻撃する。


 ………その瞬間だった。

 創造神の目が赤く輝き、創造神の体から物理的な威力を持った魔力が無差別に放たれる。


「………負け………ない。私が………負ける………はずがない………。」

 創造神が負けないと壊れたように呟き始め、私の全身を悪寒が駆け抜ける。


「ゥウヴァ!《存在回帰(ジ・エンド)》」

 回避なんてしようがない全方位攻撃。《過程省略》ですら避けられないということは必中、そしてその効果は………


「これは………、体の末端から消えている………?」

 自分の体を見ると、指先から粒子になって消えていっている。

 まさか最後の最後で全方位かつ必中の攻撃、その効果が分解系の効果を持つ攻撃が放たれるとは思ってもみなかった。

 むしろ私が分解されるなんてことがあるのかと驚いている。


 徐々に消えていく私と聖煌大絶剣(ヴァーン・レイテ)を見て、あぁ、勝てなかったんだな………と実感してしまう。

 創造神が私みたいな生命が生まれることがあるから、と世界の破壊をやらないでいてくれたらいいな………。

 そうならなかったら全世界は創造神によって滅ぼされてしまう。だが、私が世界の破壊を止めるために創造神を倒そうとしたのにこの願望は我が儘が過ぎるだろう。


 自然と涙が零れ落ちる。

 あぁ、まただ、また私は大切な物を………。


 私が完全に分解されるまであと少しという時、後ろにドサッという音がしたので振り返ると、そこには私が守りたかったマーガム達がいた。

 マーガム達が私を見つけるよりも速く私は完全に分解されたのだった。

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