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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第三部 第一章 上位世界
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第22私 刹那の一撃

 No.1が本気を出すと言ってから、5分経たない内に私の共鳴聖剣は全て折られてしまい、私の前方にNo.1が軍と共に押し寄せてきている。


 絶体絶命ではあるが、ここをなんとかして凌げなければ私にも世界にも未来は無い。

 幸い戦場となっているこの世界は広く作られているので、逃げ回ることくらいなら出来る。なので現在、逃げながら起死回生の一手が無いかを考えている。


 現状をまとめると、私と絶刀(ヴァーン)絶剣(レイテ)そして黒神剣(クロス)が残り、《時空間収納(アイテムボックス)》には聖剣が1本も無い。それ以外となると《時空間収納(アイテムボックス)》には食料や生活雑貨等が入っているだけなので戦闘には役に立たない。


 スキルに関しては《限界突破》や《極限突破》といった短期間強化スキルはあるが、戦えなくなる時間などを考慮すると《限界突破》は使えるとしても、《極限突破》は使うわけにはいかない。それに他のスキルも創造神との戦闘のために出来るだけ魔力などは残しておきたいので使うのが躊躇われる。使う量が総貯蓄の4分の1くらいなら1日あれば《高速回復》によって回復可能なので使って行けるのだが、No.1を倒すのにどれだけ使うのかわからないので使うのを躊躇っている。


 ならば管理者権限や概念はどうかというと、これは割と通じるようでこちらを集中して使っていくことにした。


 管理者権限“闇”を使い、全部で8個のブラックホールを生成し、No.1の軍に向かって飛ばしていく。その際4個がNo.1による妨害によってブラックホールが消滅してしまうが、残った4個がNo.1の軍を吸い込み圧縮していく。

 それでもNo.1の軍はまだ1万以上は残っている。とはいえ最初から比べれば10分の1にまで減らせているので上出来と言えるだろう。


「まだ耐えるんですかっ………!」

 No.1が逃げながらも確実にNo.1の軍の数を減らしていることに対して吐き捨てるように呟く。その姿をもし他の管理者が見ていたならば顎が外れているほどに驚いていただろう。それほどまでにNo.1が自身の感情を表に出すのは珍しかった。

 だが、そんなことを知ることの無いミナだったが、不思議とNo.1が苛立っているのを感じ取ってはいた。だがそれは自分が逃げ回っていることに対してだと思っていたため、ややズレていたのだが。


 私が絶刀(ヴァーン)を横一線に振るうと、絶刀(ヴァーン)から炎が燃え上がり、直線上が全て焼き尽くされ、壊滅状態のNo.1の軍をさらに殲滅していく。No.1が防御することでNo.1の後ろの軍は無傷だが、No.1が防御をミスした瞬間、No.1のダメージを肩代わりして後ろにいる軍が倒れていく。

 残りの軍は約5000、そしてNo.1がいる。だがここまで戦ってきた私はどうしてかいい方に転がっていくような気がした。


 だがそんな希望的観測は甘いのだと思い知らされる。

 それは残った5000の軍の動きがより速くなり、攻撃が重くなったことで認識した。恐らく数が少なくなる程、残った軍が強くなっていくという仕組みだろうか?

 それか、単純に並列にエネルギーを供給していた数が減ったために供給できるエネルギー量が増えたかのどちらかだ。

 どちらにしろ、最後の1人になったところでNo.1よりも強い。なんてことはないだろう。もし強いのならばNo.1が戦う意味が無くなるのだから。


 No.1の軍を減らす方針でやってきたが、数が減って個人の能力が上昇したこと、そして、No.1が守りきれるまで人数が減ったこと、その2つが重なり、もう減らすことが用意で無くなった為、私はNo.1を倒すことにした。

 どうせNo.1の肩代わりで軍の数は減らせるので、無視しても問題無いという判断だ。


 No.1に向かって駆け出す。その速度は光速を超え、《過程省略》を使うことでその速度を殺すことなく自在な軌道を描く。

 ただ軌道を描くだけでは無く、《過程省略》を使った攻撃と速度を生かした切り抜け、そして絶刀(ヴァーン)絶剣(レイテ)の概念による攻撃によってNo.1を四方八方から攻撃する。No.1も対応しているが万全とは言えず、No.1の軍がその数を減らしている。


 それがしばらく続くと、軍の数が1000を切った。そして私の攻撃が《過程省略》によってNo.1の前方から飛来してNo.1がなんとか防御する。

 その一瞬の隙に後ろに回り込んだ私がNo.1の胸に向かって絶刀(ヴァーン)を突き刺す。

 そしてNo.1の肩代わりが発動し、絶刀(ヴァーン)がNo.1から押し出されようとしていた。


 そして押し出される瞬間、No.1の胸には先程回復したはずの絶刀(ヴァーン)によって作られた傷が再生する前に戻されたかのように発生した。

 それは管理者権限“時間”によって発動された過去干渉の効果だ。未来の私による攻撃。それをNo.1が防ぐことは出来ない。


 そしてそれは一度では終わらず、何度も何度も肩代わりしてはまた傷が発生されることとなる。

 それが何度も繰り返し行われた結果、No.1は肩代わりする軍を失い、遂にNo.1の胸に肩代わりされない怪我を負うこととなった。


「これは………、負け、ですね………。あなたの、勝ち、ですよ。ミナ・ルシーナ。では、後はよろしく、お願いしますね?………どうか、創造神を止めてください………。」

 最後に伝えたいことを伝えきると、No.1は私に絶剣を渡してから息を引き取った。


 その瞬間、私の足元に魔法陣が展開され、私はその場から転移させられた。

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