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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第三部 第一章 上位世界
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第20話 黒の光芒

 No.2がNo.6に何かを告げた後、自身が出した黒い液体にNo.6を飲み込ませた。

 すると、No.2に変化が現れ、体に黄色のラインが入り片眼は黄色に、髪の毛も一部が黄色く染まった。それだけではなく、黒かった絶剣が一部が黄色になった。


 変化が完了したのか、No.2が手を閉じて開いてを何回か繰り返すとこちらに顔を向けてくる。その表情は先程とは違い穏やかなものに変わっていた。


 私は警戒心を強めると同時に絶剣(レイテ)絶刀(ヴァーン)を構える。

 次の瞬間、私の周囲にブラックホールが発生し、さらにブラックホールからブラックホールへと光の矢が光速すら凌駕する速度で移動している。

 光速を超えているので残像が生まれて複数の矢が発生しているように見えるのだが、残像では無く実体を持っている可能性があるので迂闊には近付けない。

 とはいえ私に向かって飛んで来る時もあるので、その時には回避して様子を見ている。


 しばらく回避だけに専念していると我慢出来なくなったのか、No.2が黒を纏ってブラックホールから飛び出して攻撃してきた。

 それを絶剣(レイテ)で受け流しつつ絶刀(ヴァーン)で反撃する。

 だが、私自身が何回もやっている、もはやルーティンと言っても良いような動作の為、一切の淀みの無い動作で行われたそれは、もはや無意識でも行われる一撃だ。


 No.2も攻撃が受け流された瞬間にそのまま流されてブラックホールに入ろうとしたのだが、それよりも速く私の攻撃が通った。

 No.2の脇腹を斬りつけるが痛みで周囲のブラックホールが解除されたり、攻撃の手が緩むかと期待したのだが、そんなに世の中甘くなかった。


 No.2の周りにブラックホールが配置され、No.2から出た黒が地面を黒く塗りつぶしていく。

 No.2が黒を出し続けていると、1分でピタッと止まり、黒がNo.2へと戻っていった。

 そして斬りつけた場所に黒が集まっていき、黒が肌と一緒の色になって傷口を塞いでしまった。

 感覚的な話だが、異なる細胞を自身の皮膚の細胞等に変換しているような感じだ。


 さらにブラックホールが展開されているせいで《過程省略》では攻撃することも、移動することも出来ない。

 攻撃することが出来ないのは省略する過程が多いから。そして移動することが出来ないのは移動後のスペースの無さ、そして移動した後のブラックホールへの対処方法が決まっていないからだ。


 全快したNo.2が手のひらを私に向けるとNo.2を囲んでいたブラックホールが一斉にこちらに正面を向ける。

 するとブラックホールの中から黒い棘のような物が飛び出してきた。

 紙一重で避けるが、どうやらあの棘もブラックホールよりは弱いが重力を保有しているようであの棘に当たるように重力が働くので、かなり厳しい戦いだ。


 ブラックホールを無効にするにはブラックホールが圧縮しきれない何かをぶつけるしかない。

 先程のように燃やすというのが最善………かと思ったが、より良い最善を考え付いた。


 それは………、概念 斬撃を使用すること。


 ブラックホールごと斬ってしまえばいいのだ。

 重力を斬ってしまえば重力に悩まさせられる心配もない。

 おまけに単純明快なので私にはピッタリだ。


 私の思惑通りブラックホールは斬ることが可能だった。

 だが、問題はその後にこそあったのだ。


 No.2が意外にもNo.6と同じように光速すら超える速度で動き回っている。

 絶剣がぶつかり合う音だけが戦場に響き渡る。音と共に生まれる衝撃波は土地を破壊して元の地形がどんなのだったかが解らなくなっている


 やがてそんな状況が続いていたが私には疲れが無く、No.2にはある。それが勝敗を分けた。


 No.2の絶剣と絶刀(ヴァーン)が激しい音を生み出したその瞬間、No.2が絶剣を持っていた手を滑らせてNo.2が落ちる。No.2がそれに気をとられた瞬間、絶刀(ヴァーン)がNo.2の胸を貫いていた。

 No.2がもがき足掻こうとするが、なぜか黒を出すことはしなかった。しなかった………というよりも出来なかったのかもしれない。本当の所はNo.2にしかわからない。


「ミナ・ルシーナの勝利です。」

 そう告げられて初めて私は自分が勝利したことを知ったのだった。


 ~創造神襲来まであと2日~

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