第14話 戦闘硬直
「さてと………、どうしたものか………。」
硬直状態がかなり長く続いているため、少しばかり集中力が続かない場面が出て来ている。それは私だけでは無く、No.3とNo.5もそういう状態に陥っている。
ヴァーンとレイテの戦況も気になるが、ここを放置すれば私が行く方向とその逆方向に1人づつ向かうはずだ。そうなってしまうのは良くないので無事を願うことしか出来ない。
ちなみに奥の手を使えば一瞬で終わるのだが、奥の手を使ってしまうと後の創造神との戦闘に響く可能性があるので今の所は使う気はない。だが、ヴァーンとレイテに何かが起きるなら迷わずに使う気でもいるので、何も無いことを願う。
一応No.5は水に弱く、No.3も水に弱いのだが、私が水系統の概念を持っていない上に、どちらも私が撃てる高威力の水魔法しか効かないので、両方を倒そうと思うと今の私の詠唱速度では体力を削りきることが出来ない。
くそぅ、私の概念 加速が思う通りに使えればこんなことで悩まなくてもいいのに………。
No.5は不死鳥のように復活するので体力が無尽蔵なのではないかと思ってしまうが、もし本当に無尽蔵ならばもっと私に攻撃してくる“肉を切らせて骨を断つ”的な行動をしてくるはずだ。
そうでないのだから、体力は無尽蔵ではないと仮定できる。
………まぁ、No.5が策士でミスリードを誘っている可能性もあることにはあるのだが………。
No.3の方は防御力がとてつもなく高い上に、土の中を高速で移動するため、《剣神》によって位置が把握出来ていても私の出せる速度に制限が掛けられているために追うことが難しい。
ヴァーンかレイテのどちらかがこちらに来てくれれば勝つことは容易になるだろう。
しかしそう上手く行くわけもなく、時間のみが進んでいく。
戦闘開始から既に2時間ほどが経過し、私はヴァーンとレイテのことが心配になっていた。
その時、《剣神》の認識範囲内に2人が入ってくる。
「2人共!無事でよかった!」
私はNo.3とNo.5から目を離さずに2人との再開を喜ぶ。本当なら抱き締めたい所だけれど、目を離した隙に何をされるかわかった物ではないので、ずっと見ているしかない。
「おかーさん!私達ちゃんと倒せたよ!」
「母さん、後で褒めて欲しい。」
「2人共っ!よく、よく無事で帰って来たね。」
感極まってしまい、ぎゅっ、と2人を抱き締める。もちろんNo.3もNo.5も視界に入っていない。
その隙をNo.3とNo.5が見逃すはずもなく、私の背後から攻撃を仕掛けてくる。
だが、私とヴァーンとレイテ、3人が揃って負けるはずは無い。
アイコンタクトをすることもなく、ヴァーンとレイテが剣形態に変化する。
剣形態になったヴァーンを右手でレイテを左手に逆手で持ち、レイテを地面に突き立ててNo.3とNo.5の攻撃を防ぐ。
攻撃を防ぎきってから地面からレイテを引き抜き、No.5との距離を一気に詰める。さすがにNo.3から地面から壁を作成する妨害が入るが、ヴァーンを横に振るうことで壁を焼き尽くして脆くしてから、レイテから光の弾を複数発射して穴を開けてその中を通っていく。
No.5も流石にこの速さで近付かれるとは思っていなかったらしく、一瞬反応が遅れる。
その一瞬をミナが逃す訳がなく、一気にNo.5を切り裂いた。
No.5が灰になるが、その灰からNo.5が生まれるのはわかっているので、その灰に向かってヴァーンが発生させた炎を放り込んでみた。
すると灰が燃え盛りNo.5の絶叫が響き渡った。No.5の絶叫が止まったので、しばらく燃やしていると、No.1によるアナウンスでNo.5を倒したことが伝えられる。
No.3が地面を潜り、壁を作り、逃げに逃げたが、人形態になったヴァーンとレイテと共に囲むように立ち回り逃げるルートを狭めていき、地面の中にレイテが光の膜を張ることで完全に逃げられなくしてからNo.3に剣形態になったヴァーンを刺して燃やした。
「では、今回の戦いはミナ・ルシーナの勝利!」
こうして私達は無事に奥の手や連係技を使うことなく戦いに勝つことが出来たのだった。