第10話 復活
なんとか今回も無事に戻ってこれた。
だが、次の戦いも無事に勝てるという保証は無いし、何かイレギュラーが起こる可能性も無い訳では無い。
なので、最大限出来る限りの準備は必要なのだが、相手が相手だけに出来る限りの準備をしたとしても足りない時は足りないだろう。
しかしそれを理由にして何もやらない訳にもいかないので今はただ黙々と絶剣と呼ばれる自分の観察をして研究していた。
「見た感じはそんなに変わって無いかな………?」
水魔法を使って鏡を作り、その鏡に映った自分を見て呟く。
実際、絶剣になる前と後で写真を撮っていたとしても違いがわからないくらい姿形には微妙な差しかなかった。
例えば、髪の毛が以前よりさわり心地が良くなっている。とか、少しだけ身長が伸びた。といった微妙な差だった。
今の私はヴァーンとレイテと融合しているような状態なのだが、この状態になってからヴァーンもレイテも反応が無いのだが、確かに私の中にいることは感じることができる。
2人が折れてしまってから今まで眠り続け、今は回復している(であろう)2人を起こすためにそれぞれが神剣だったときと同じ形状に絶剣を形作る。
形が出来たら私とヴァーンとレイテがそれぞれ体を持てるように、私の中にあるヴァーンの意識とレイテの意識を私が引き出し、絶剣と私を行ったり来たりするように回す。
しばらく回し続けると、ヴァーンの意識はヴァーンに用意した絶剣に、レイテの意識はレイテに用意した絶剣に別れた。
するとそれぞれが炎と輝きをそれぞれに放ち、ヴァーンとレイテが姿を現した。
2人とも右頬に吹く風のような模様があり、手の甲には魔法陣を何重にも重ねたような、そんな模様が浮かび上がっていた。
「………ぅん?」
「おはよう、具合はどう?」
「うーん、気分は悪いかな?でも体のほうは絶好調だよ!!」
「母さん、私も同じ。」
どうやら体の調子はいいみたいだ。
ただ死ぬ寸前だったりしたことも理由なのだろう。気分は良くないようなので2人には気分が良くなるまで安静にしていてもらおう。
「おかーさん!」
「母さん。」
「何?」
「「ただいま。(!)」」
「………っ、お帰り。」
喋れる相手がここに来てからいなかったのもあるのだろうが、2人が不甲斐ない母親の私になついてくれていることに涙が出てくる。
涙を拭って2人を抱きしめ、一言だけ伝える。
「………次は無いから、だから私にもう一度手を貸して?」
そう言うと今度は2人が私の手を握ってくれる。
これは誓いだ。私自身が私自身に課す私自身が守るべき誓い。
それは自分を強くもするし、弱くもする。それをしっかりと理解した上で誓う。
こうして完全とはいかないが復活したヴァーンとレイテと確めたいことを確めた。
今は分離しているが、再び融合は出来るのか?という疑問には出来るという解答だ。とゆうか、さっきよりも楽に分離と融合が可能になっていた。
私が直接持っていないと絶剣にはなぜかならないが、絶剣のヴァーンとレイテも手を離せば絶剣で無くなるのか?これには絶剣のままであることが確認出来た。
何故かはわからないが、神剣の時と同じような条件があるのかもしれない。
一応奥義的な技と私達にしか出来ない攻撃も開発出来たので、一応管理者と戦う準備も出来たと言えるかもしれない。
そう私が楽観的に考えていたとき、世界が突如して激しく揺れる。
しばらくすると揺れは収まり、管理者No.1が言葉を発した。
「残念なことに世界の終わりが早まってしまったので、本来の予定を大幅に短縮します。かなりハードになるので生き残ってくださいね。あなたは私達の希望なので。」
最後の言葉が私に重くのしかかる。
自分が死んでも希望を託すなんて、私には出来ない。だが今、私は希望を託されている。
「創造神が動き出すまであと8日間しかありません。この期間中にミナには私達管理者と戦ってもらいます。」
期間が思った以上に短い!
だが日数がはっきりわかっているならまだ、手の打ちようはある。
そして翌日から創造神が動き出すまでの8日間、私は管理者との戦いに挑むのであった。