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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第二部 第六章 管理者
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第42話 管理者

「がぁああぁ!?」

 雷がエクスに直撃し、エクスが絶叫する。


 私は直撃する寸前で後ろに飛び退き、雷をエクスが発生させて私の攻撃を中断させて回復するためのものだと思い、再びエクスに斬りかかる。

 ………が、エクスの周りを包むように停滞する雷に私の斬撃が防がれてしまう。


 しばらくすると絶叫が止み、お父さん達が近づいてくる。


「今の雷は何?私が起こした物ではないわよ?」

「俺でもないぞ?………で、やったのか?」

 何か、フラグが立った気がする。


「私でも無いよ。エクスの攻撃でもなさそうなんだよね。」

 だが、強烈なまでの嫌な予感はしている。

 それはお父さん達も一緒なのだろう。

 私達はそれぞれの武器を握る力を強めた。


 すると、エクスを包んでいた雷がエクスに吸収されていく。

「はぁ………、また、失敗か………。」

 エクスの口から出たエクスの物とは違う声。

 どこかノイズが入ったような、だけど明瞭に聞こえるその声がエクスでは無いように思わせる。


「まったく、この世界群の対立関係を壊すようなことをしないで欲しいんだがな………。」

 エクスでは無い何かは、私達が理解が出来ないことを言っている。


「あなたは、誰?」

「………まぁ、下位種に名乗る名前は無いが、お前達の世界すべての管理者、とでも名乗っておこう。」

 下位種…ね、それに管理者、それが何かは私にはわからないが、この世界の仕組みを作ったのはこの管理者なのだろう。

 下位種と呼んでおきながら、話してくれる辺り優しいのだろうか。


「それで?その管理者様が何の用かしら?」

「お前達を消しに来たんだよ。私が作ったルールを壊そうとするお前達をな。」

 そんな訳がわからない理由で消される訳にはいかない。

 そう思った私達は武器を構える。


 光速すら超えたスピードが出せる私が真っ先に斬りかかる。………が、攻撃に向かった瞬間、目の前に現れた管理者に腹を殴られて地面に叩きつけられる。

 転移?いや、そんなものじゃなく、もっと単純かつ強力なスキルなのだろう。《剣神》で認識出来なかったのだから。


 お姉ちゃんから闇が溢れだすと、糸によって繋がれた人形にも闇が伝播し、人形が姿を変えて悪魔のような形状に姿を変えた。

 私の時と同じように管理者が目の前に現れるが、お姉ちゃんは飛んでくる拳と自分との間に糸を張ることで防いだ。


 お父さんは銃撃で応戦するが瞬間的に移動してくるため狙いがつけられずに攻撃を何発か食らっているが、なんとか無事そうだ。


「海那、あなたも扉を開きなさい。私だけでは押し負けてしまうわ。少しだけ時間を稼いであげるから、なんとかしなさい。」

 心にある創造主が持つ扉、それを開く。

 私にはその覚悟が出来ていない。

 だが、今開かなくてはここで全滅してしまうだろう。


 私は創造主の扉を開いた。


「遂に開いてしまったのですね。」

 マルムがそう言ってくる。

「まぁ、この状況だからね。それに、いつかは開く必要があったんだよ。創造主は必要なんだから。」

 私に創造主になる覚悟がある訳では無い。

 だが、ここで開けないなら私は創造主になんてなれないだろう。


 開いた扉からは凄まじい情報と力が流れ出てくる。

 頭が割れるような痛みを感じ、体は軋む。

 一瞬のような、何時間も経ったような、時間の感覚が無くなる程の痛みが過ぎ去り、開かれた扉の中に入った。


 扉の中には情報や力を出し尽くしたのか、何も無く、私は扉の中で立ち尽くした。


 すると後ろに不意に現れる気配。

 私が振り向くと、私によく似た女性がいた。


「海那ちゃん、久しぶりだねー。覚えているかな?お母さんですよー?」

 ………お、母さん………?

 なんでこんな場所に…、それよりも死んだはずじゃ…。


「地那ちゃんのことがあったから、海那ちゃんが産まれた時に扉が託されそうだったから、私の意識のコピーを置いておくことにしたの。」

 えっへんっ!と言わんばかりにお母さんは無い胸を張った。


「でも、時間は無いから、これだけは確認させてね?海那ちゃんはどうして力が欲しいの?」

「………私は、私の仲間を、家族を守りたい。その為に力が欲しい。」

 それだけは、そこだけは昔から変わらない。


「そう、ならいいよ。私から海那ちゃんにプレゼントだよ!って言っても本来なら海那ちゃんの元々持っていた力を解放するための鍵なんだけどね。」

 そう言うとお母さんの手から光が溢れて私の中に入っていった。


「じゃあ、地那ちゃんや空くんによろしくね!」

「ちょっと、待って!!」

 私が止める間もなく、お母さんは消えてしまった。


 お母さんからもらった、私の元々持っていた力を解放する鍵。

 私はその鍵によって自分の隠された力が解放されたのを認識した。


 私が意識を浮上させると、ぼろぼろのお父さんと右腕が無くなっているお姉ちゃんが無傷な管理者の攻撃が私に当たらないように戦っている最中だった。


「遅い、わよ。」

「ごめん、でも、もう大丈夫だよ。」

 私はお父さんとお姉ちゃんに《魔帝》にストックしておいた回復魔法“完全回復(フルリカバリー)”を発動し、2人の傷を治してから、管理者に向かって《過程省略》で移動した。

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