第11話 ホゾンのダンジョン
私達は、ダンジョンに入る手続きをするためにギルドに来ていた。
受付嬢に、「ダンジョンに入りたいんですけど…」と言ったら簡単に手続きしてくれた。
Bランクになると、さまざまな手続きが短くなるようだ。
ギルドがダンジョンを監視しているらしく、ギルドで手続きしないと、ダンジョンに入れないのだ。
ちなみに、ホゾンのダンジョンはモンスターがかなり多く出現するらしいので、溢れないように監視しているらしい。
受付嬢に案内されて、ダンジョンの入り口まで来た。
そこには、結構な数の冒険者達がダンジョンに潜る光景が広がっていた。
私達も、冒険者達に続いてダンジョンに潜った。
いくつかに道が別れて、それぞれに冒険者達がパーティー毎に別れていく。
私達も、前の冒険者が入った道と違う道に入る。
そしてしばらく進むと、オークが9体出現する。
オーク達の手には、剣や弓、杖が装備されている。
私は、マーガムを左手で抱えて、マルムをおんぶした状態で、オークを刀で壁に向かって叩きつける。
すると、絶命したのか光になって消えていく。
その光景に驚いていると、オークを倒しきった後、マルムが説明してくれた。
「ダンジョン内では、モンスターは死ぬと光になってからドロップアイテムを落とします。
これは、ほとんどの物をギルドが買い取ってくださるようです。
人間が死ぬと、死ぬ際の意思によってですが、霊魂石と呼ばれる特殊な金属になります。
霊魂石が使われた武具は、所有者を選びますが、もし使えるのなら、とてつもない力を所有者に与えると言われています。」
そんな金属があるのか。
とてつもない力って言うのは、たぶんスキルを所有者が一時的に使えたり、ステータスを上昇させたりとか、聖剣にも存在しない能力なんだろう。
私はそんなことを考えながら、マルムに聞きたいことがあったのを思い出した。
「そういえば、マルムって魔法使いだから、魔法が使えるよね?
魔法の使い方を教えて欲しいんだけど………いいかな?」
「もちろんです。
魔力があることに気が付かれていますか?」
私は、これかな?と思うものはあると答える。
「魔法を発動するには、発動させる魔法のイメージと詠唱、そして発動するためのワードが必要不可欠です。
魔法のイメージは、どのような魔法をどのように使用するかを、具体的にイメージする必要があります。
詠唱は、基本的に誰でも詠唱破棄ができますが、詠唱をした方が威力とMP消費量が段違いになります。
最後の発動するためのワードですが、これだけは、口に出さないと魔法の発動が出来ません。
ちなみにステータスの魔法欄に記載されていない属性でも、魔法は使えます。
実際にやってみせますね。」
そういってマルムが詠唱から始めた。
「赤き炎よ、敵を燃やせ“ファイアーボール”」
サッカーボールくらいの大きさの球体状になった炎が、壁に向かって飛んでいき、壁を少しだけ焦がした。
私も詠唱してみる。
「赤き炎よ、敵を燃やせ“ファイアーボール”」
………でかっ!
マルムのファイアーボールの10倍はある気がするんだけど?
とりあえず遠くの壁に向かって飛ばす。
壁に当たったファイアーボールは、爆発した。
壁に穴が開いてしまうほどに、強力な爆発だったようだ。
私が呆然としていると、
「ミナ様すごいです!
こんな威力が出せるのは、宮廷魔導師くらいです!」
珍しいマルムの姿になのか、それとも私の魔法に対してかはわからないが、マーガムはびっくりしていた。
私は魔法の練習相手をオークに決めて、マーガムとマルムを抱えながら、超スピードで移動しつつ、オークにファイアーボールを投げまくっていると、下の階層に降りる階段を見つけた。
階段の前でマーガムとマルムのレベルが上がっているかと思って確認したが、1から変わっていなかった。
試しにマーガムとマルムに、1対1でオークと戦ってもらった。
すると、レベルが1だけだが上昇していた。
つまり、ある程度のダメージが必要ということか。
私は、モンスターに対して、マーガムは剣で切れ込みを入れるように、マルムには威力最小でMP消費量を必要最小限に押さえた魔法で攻撃するように言っておく。
オークの群れが現れる。
マルムがすべてに向けて、一円玉くらいのファイアーボールを当てていく。
それを確認してから、私の刀をマーガムに構えさせておき、そのままマルムと一緒に抱えて超スピードでオークに切り傷を付けていく。
すべてのオークに切り傷を付けたら、ファイアーボールを詠唱破棄して、ファイアーボールを乱発する。
「“ファイアーボール”“ファイアーボール”“ファイアーボール”」
オークがすべて光に変わったのを確認してから、私は2人のステータスを確認した。
結果としてレベルは上がっていたので、ダメージを1でも与えていれば経験値がもらえるようだ。
それから私達は、経験値が入るように戦い、ドロップアイテムを回収しつつ、階層をどんどん更新していった。
ドロップアイテムの中身は、豚肉が大量、オークの宝珠が2個だった。
オークの宝珠はレアドロップで、すごく高値でギルドが買い取ってくれるらしい。
丁度10階層でそれっぽい扉を見つけた。
そう、ボス部屋である。
私達は、HPとMP、SPが完全に回復してから、ボス部屋に入っていった。