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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第二部 第五章 聖邪戦争
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第35話 怠惰

「やっと、見つけた!」

 《過程省略》を使っても見つからなかったのだが、薫のスキル《意思あらばすべてを成す》を借りることでようやく、レムナを発見した。


 レムナがいる場所は学校とは別の時空間にあるのか、バラバラの空間を無理矢理繋げたかのような違和感があった。

 その違和感のせいでそこまで行けないかと思ったが、無事に空間の穴を繋げることが出来た。


 そして私は穴を通ってレムナの前にたどり着いた。

 レムナが眠たそうにしながらも、すこし驚いた顔をしていた。


「あなたは、ここで止める…!」

「それはぁ、無理だよぉ?」

 そう言うとレムナの手には死神が持っているような大きな鎌が握られていた。


 何故レムナが無理と断言出来るのかはわからないが、今現在もマーガム達が戦ってくれているのを早く終わらせてあげたいので、無理でもレムナを戦闘不能にする。


 私は決心して、レムナに剣を向ける。


「さぁ、いくよっ!」

 剣を《武器創改造》で伸ばし、そのままレムナに向かって叩きつける。


 レムナがそれを鎌の持ち手を両手で持ち、持ち手の部分で受け止める。

 その瞬間、私は剣を《武器創改造》で短くしてそのまま突きを放つと同時に《武器創改造》で刀身を伸ばす。


 それは腕が伸びきるまでに刀身がレムナに当たり、伸びきった時には確実に刺さる、必中の攻撃だった。


 そしてその攻撃は見事に当たるが、油断する暇は無い。

 レムナには戦闘する気を無くしてもらうか、邪神を操れなくなるほど消耗してもらうしかない。


 すぐに剣を短くして、レムナの反撃を警戒する。

 すると、突如後ろから鎌が振るわれ、さらに火魔法による攻撃が飛んできた。

 鎌を防御すると同時に、スキル《魔帝》に貯蔵していた魔法を解放する。


「“ファイアランス”!!」

 魔法同士が激突して対消滅し、私に振るわれた鎌を止めることに成功する。

だが、鎌を止めたと思ったのは甘かったようだ。


 私を取り囲むように、鎌がいくつも出現する。

 それはまるで私が聖剣でやっていることをやられているようだった。


 焦ることなく、マーガムから《極点防御》を借りて、鎌が通る地点に防御力を限界まで高めた点を置いておく。

 全ての攻撃を上手く止めたところで、《過程省略》を使いその場を脱出する。


 むしろ、《過程省略》を使った方が簡単に避けることが出来たのだが、レムナを無力化するなら、私には勝てない、そう思ってもらう必要があるので、レムナの手を全て潰して私が勝つ。


「それはぁ、反則じゃないかなぁ?」

「いやいや、まだまだ序ノ口だよ?」

 そう言うレムナはまだまだ余裕があるように見える。

 それにいつの間にか私がさっきつけた傷が完治しているので、邪神の能力も持っている可能性がある。


 流石に先程の鎌による遠隔操作攻撃をやられると厄介なので、《時空間収納(アイテムボックス)》から聖剣を取り出し、レムナに対抗する。


 今のところ状況は私が優勢だが、どんな奥の手があるかわからない以上、私も手を抜いている暇はない。


 聖剣を操りつつ、私自身である神剣でレムナに斬りかかる。

 だが、レムナは神剣を鎌の外側で滑らせることで私に隙を作り出し、そのまま刃と柄の接続部位で私の顎を狙ってくる。


 私は聖剣を《過程省略》により眼前に配置し、角度をつけて受けることで、鎌を受け流し、がら空きの足の部分から切り上げる。


 僅かにレムナが後ろに飛んだことにより、ダメージが軽減されるが、それでも大ダメージのはずだ。


「くぅ、やっぱり久しぶりの戦闘は無理っぽいねぇ。」

 そう言うとレムナは布団をどこからか取り出して、その中に入ってしまった。


 ………え?!

 そこで寝るの?!


 どうしよう、戦意を喪失したと見なしていいのだろうか………?

 レムナの罪が【怠惰】なのだから、戦闘するのが面倒になった可能性もあるんだろうけど………。


 私がそうして悩んでいると、私の後ろの空間に穴が開いて、そこからエクスが現れた。


「………なんでエクスがここにいるの?」

 どうやって来たのかも気になる。


「それは、俺には《意思あらばすべてを成す》っていうスキルがあるからな!」

 あぁ、薫が持っているスキルを持っているのか。


「それに加えて《運命掌握》で望む運命だけを持ってきた訳だ。」

 頼んでもいないのにスキルの説明をありがとう。


 とはいえ、そんなスキルがあるのなら、グループ決めの戦いの時に使えば良かったのに…、もしかして自分より上位の存在には使えないとか…?


 そんな思考は置いておいて、エクスに聞くことがある。


「エクス、あなたはレムナを封印出来る?」

「うーん、ギリギリ出来そうか?ただ触媒が必要になるんだが………」

「私の聖剣ならどう?」

「申し分ないぜ!」


 私はエクスに《時空間収納(アイテムボックス)》から取り出していた聖剣を1本渡す。


 エクスがレムナの周りに魔法陣を描き、そして自分の正面に聖剣を置いた。

 すると魔法陣から光が放出され、その光が聖剣に集まり、光が収まるとレムナの姿は無くなっていた。


「ちょっと、レムナはどこにやったの?」

「その聖剣の中だよ。聖剣に封印したんだ。」

 よく聖剣を見てみると、布団に入ったレムナが見える。


 とりあえずはこのまま封印して、この戦いが終わってからレムナと話をしよう。

 まだ取り返しはつくかもしれない。


 エクスによると、聖剣を動かすと封印が解けてしまうため、レムナの封印された聖剣を地面に刺したまま、私達はマーガム達の元に帰還した。


 私がここに来たときと同じ要領で帰り道を開けて、戻ってくると、どうやらマーガム達の方の戦闘も終わっていたみたいだ。

 私がそれを確認した時、エクスも戻ってきた。


 そして傷を負った神達の手当てなどをしていると、何も無かった空間からお父さんが現れた。

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