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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第二部 第四章 より強くなる為に
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第29話 手数部門

 防御部門が終了し、手数部門が始まった。


 今回は対戦方式ということもあってか、会場のボルテージはかなり高くなっている。

 なぜか審査員も前屈みで見ていることから、この部門への期待値の高さが伺える。


「今回はどんな奴が勝ち上がるのかの?」

「いやはや、楽しみですな!」

「今回の勧誘では負けませんぞ?」

 もし私が出場していたなら、勧誘されてたんだろうな………。

 とはいえ今は審査員なので、気楽に見ることにした。


 審査員全員にトーナメントが配布される。

 見た目、iP◯dなのはどうにかならないのだろうか…。

 気を取り直してトーナメント表を見てみると、どうやらコランの出番は5番目のようだ。

 ちなみに一回戦は全8試合だ。


 恐らく一番盛り上がる部門なのだろう。

 どこから出てきたのか実況に解説までいる………。

 というか、よく見たら解説がさっきまで審査員席に座っていた神なんだけど…。


 そんなことを気にしていたら、第一試合が始まった。

 最初までは見ていたんだけど、魔法攻撃を同時に発動するだけ、同時に何かを投げるだけの攻撃手段しか見れなかったので、途中からはヴァーンとレイテが試合を真似て行っている遊びを見ていた。


 ヴァーンとレイテはそれぞれ小型の炎の剣と光の剣をどんどん出していき、それぞれが用意した炎の球と光の球を壊した方が勝ち。というルールで遊んでいた。

 それを他の審査員まで見ていたのだが、私の言えたことでは無いけど、試合を集中して見てほしい。


 ヴァーン達の遊びを見ているとすぐに時間が経過し、コランの出番がやってきた。

 ちなみに一応《剣神》の空間認知で試合は全て確認しているのだが、魔法攻撃主体の神ばかりで、審査員の度肝を抜くような攻撃を見せた神はいなかった。


 コランもそういえば戦っている所を見た覚えは無い気がする。

 そう思ってコランの方を見てみると………


 触手、それも蛸の足のような吸盤の付いた触手がコランの足下から現れた。


 触手を見た観客、そして審査員はドン引きしている。

 まぁ、仕方ない。

 だってヌメヌメしてそうなテカりと、ウネウネ動く様を見るのは結構厳しい。

 そういう私もドン引きしているのだが、仲間ということもあり、他の神よりその具合は弱いのだが…。


「ぎゃあぁぁぁぁぁ!?」

 相手が触手に拒否反応を出しながら、コランに向かって魔法の連射と周囲にトランプと同じ大きさのプレートを設置した。


 魔法は全てコランの触手によって防がれた。

 ………いや、反射されたようだ。

 どうやら触手に一回魔法を取り込んで、それを相手に向かって吐き出したようだ。


 突然の攻撃、しかも自分の放った攻撃に一瞬面食らい、防御が遅れて攻撃が直撃した………えぇと、Bクラスの…パルさんが身体中に魔法を浴びるが、どうやら様子見威力の魔法だったようで特に大怪我とかはしていなさそうだ。


 だが、攻撃を反射されたことに驚いている暇はない。

 コランの触手の先端がパルさんに向くと、先端から弾丸のようなスピードでヌメヌメを飛ばした。


 ヌメヌメを回避出来ずに当たってしまった箇所が石化していく。

 こ…、怖っ!!。


 ヌメヌメが連射され、パルさんの全身にかかると遂にパルさんが石像になってしまった。

 あれって元に戻せるんだろうか…。


 そんなわけで相手が戦闘継続出来なくなったことで、コランの勝ちが確定した。

 コランのその後の試合も見ていたのだが、全て同じような内容だったので説明は省くけど、コランと戦った相手は全員が全身石像にされ、今治療をしている真っ最中だということだけ言っておく。


 コランの戦闘相手がことごとく石化していったため、優勝はコランになったのだが、2位以下がいなくなってしまった。

 というのも2位はコランに石像にされ、3位決定戦は片方が石像になっているため行えなかったのだ。


 そんなわけで優勝のみ、という衝撃の結果で手数部門は幕を閉じた。




 と思いきや、創造主からの私へのゴーサイン。

 またしてもアナウンスが私が断るより早く行われ、逃げ道がまた無くなってしまった。


 仕方ない、そう思い《時空間収納(アイテムボックス)》から聖剣を100本程度取り出すと、《剣神》でその全てを操作する。


 だが、コランも負けじと触手の本数を増やしていく。

 ………その触手、増やせるんだね。


 聖剣だけでコランの攻撃を防ぎつつ、コランに攻撃する。

 とはいえ触手と聖剣ではサイズが違うため、触手の面制圧力に若干押し負けているが、硬さでは聖剣の方が硬いようで、触手を斬って対抗している。


 どうやら石化液は生物にしか効果が無いようで、聖剣が石になって脆くなるとかはなかった。

 いつぞやのクレーメさんと戦った時のように聖剣が塵に変えられる心配は無くなった。


 私とコランの戦いは持久戦にもつれこんだが、最終的に体力などがほぼ無尽蔵な私が勝った。

 というよりも私が石化しないことで、負けをさとったコランがギブアップしたのだ。

 まさか持久戦になるとは夢にも思っていなかった。


 そうして勝利したが、今回の戦いはエキシビションマッチのような物だ。

 コランの出す触手からいろんな物を飛ばすことが出来ればもっと手数は増えるし、幅広い相手に対して、何をしてくるかわからない、そう思考を誘導出来るような強い神になれると思う。


 そしてコラン1人勝ちのトロフィー授与が終わったその瞬間、学校の空が割れたのだった。

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