第26話 学校行事
クラス内に微妙な雰囲気が漂う中、クラスの扉が勢いよく開かれた。
「皆さん、今回の邪神の討滅でマーガムさんとセイスさん、そしてクレーメさんとエクスさんが卒業出来るようになりました。」
おぉ!と何人かが声をあげる。
マーガムとセイスが卒業出来るのなら、何の問題もない。
一刻も早く置いてきた皆に会いたい。
時間は私達が学校に来る瞬間まで戻るらしいが、離れている時間は皆一緒なので、すぐに戻りたい。
ただ、思ってしまった。
学校っぽいことをほとんどやってないことに…。
運動会とか、学芸会とか、というかむしろ普通の授業すら無かったような………。
そういう学校っぽいことは一切無しで、ほとんど自習か邪神と戦っていたような記憶しかないんだけど………。
というか、他のクラスの神との交流も無かったよね?
いや、絡まれたことはあったけども。
それはカウントしない方向で…。
それで現在、卒業出来てしまうのだ。
まぁ、卒業して戻れること自体は問題ないのだが、神の学校での思い出とかそういうのが欲しいと思ったりしている。
と言っても勉強系の思い出は要らないからね?
受験とか、そういう系の。
私がそんな事を考えている内に、卒業出来る全員が卒業の意思を天使に示した。
ちなみに私はマーガムとセイスが卒業するまでは学校にいる、という意思をすでに示しているので、私も自動的に卒業だ。
「皆さんにはこれから、学校全体で行う能力での一番を決める大会、まぁ名称は無いんですが…、に出てもらいます。」
名称無いのね………。
というか、参加するのは強制なのか………。
「そして、皆さんに参加してもらう競技はこちらになります。」
やっぱり大会だから競技形式なのか。
とりあえず競技大会って呼べば良いのではないだろうか。
そんな事を思いつつ、貼り出された紙をみてみると、私は息を飲むことになった。
何故なら………、
私以外の皆はしっかりと名前につき1競技が記載されているのに、何故か私だけは、優勝、と書いてあったのだ。
「なんで?!」
絶対におかしい。
最初から優勝してるなんて、そもそも面白くないでしょ!
「そもそも最上級の神がこの学校に入ることが珍しいので、同じレベルの相手がいないので、優勝させるしかないんですよ…。」
そんな………バカな………。
強さを求めた結果こんな弊害が出てくるなんて………。
気を取り直して競技部門を見てみると、威力部門、防御部門、手数部門、魔法部門、概念部門の全5部門で構成されていた。
確かに私が全部門で優勝出来そうな部門が並んでいる。
威力部門に関しては、スキルや魔法、概念などによる能力上昇を行った後、的を攻撃するという単純明快な測定方法なので、元々のステータスが始めから表示不可だった私が優勝できる可能性は十分にある。
ここにはセイスとエクスにラーディス、そしてミスターGがエントリーされている。
防御部門は、マーガムがエントリーされていて、私はマーガムが優勝出来るんじゃないかと思っている。
ルールは攻撃部門と同じで能力上昇を行った後、自分に向かってくる攻撃を防御することで、攻撃がどんどん強くなっていき、防御を貫通された時点が記録となる。
なので防御の仕方が上手く、防御によって消耗することがほぼ無いマーガムが優勝する可能性は十分にある。
手数部門では、コランがエントリーされている。
この部門はトーナメント方式で進んでいき、自分は動かずに対戦相手に向かって攻撃を飛ばし、相手に当てた者の勝ちというルールだ。
私だったら《剣神》で聖剣飛ばしてさらに魔法も《過程省略》のお陰でどんな魔法でもすぐに撃てるので優勝は狙える。
魔法部門にはクレーメさんとガリアがエントリーされている。
ルールは指定された魔法をどれだけ短い時間で発動させることが出来るか、そのタイムが競われる。
《過程省略》で詠唱とかをある程度省略できる上に、《魔帝》によって魔法を貯蓄しているので、それを使うという手もある。
同じようなスキルを持っていないと私に勝てるとは到底思えない。
最後に概念部門だ。
ここにはレムナがエントリーされている。
ルール自体は概念のみを使って相手を戦闘不能にすること、という単純なものだが、概念自体がかなり強力なのだから、下手したら死ぬ可能性あると思うんだけど…。
だけどレムナが戦っている所って見たこと無かったと思うから、どうやって戦うのかは興味がある。
というか支援部門とかは無いのか………。
まぁ、回復させるために重度の怪我を負ってもらうとか正気の沙汰じゃないけどさ。
とりあえず私が参加できない理由はなんとなくわかった。
今回は皆の応援に集中することにしよう。
「ちなみに学校行事は他にもありますけど、開かれるのは何年後とかなので、気にしなくていいと思います。」
神の時間感覚、かなり私達とずれがあるようだ。
「あと、開催は2日後です。」
「「「「「「「「「えぇー!?」」」」」」」」」
そうして私達は準備期間ほぼ無しで2日後の競技大会に挑むのだった。