第10話 いざ、ダンジョンへ(準備編)
朝起きると、マーガムとマルムが2人共すでに起きていて、すでに出掛ける支度が整っているようだった。
私は慌てて身だしなみを整えて、昨日増えたスキルの確認をすることにした。
《並列思考Lv1》は同時に2つのことを考えられるスキルだった。
おそらく、スキルレベルが上がると同時に思考出来る数が増えるんだと思う。
そういえば《剣域》の範囲だけど、今は紐が付いていたときの長さのままなんだけど、もしかしたらだけど、でたらめに長い剣を作ったらその分伸びたりしないかな?…流石にないかな?
一応奴隷のステータスも確認出来るので、確認しておく。
ステータス
名前 マーガム 奴隷
Lv1 職業騎士Lv1 12才 男
HP200 MP50 SP500
攻撃力 20
防御力 30
魔法攻撃力 0
魔法防御力 30
素早さ 100
スキル
感知Lv5
SPを100消費して、半径(Lv×2)メートル内の状況を把握出来る。
獣化
SPを1000消費して、(1+Lv)分だけ獣型に変化して、ステータスを2倍にする。
職業スキル
防御補整Lv1
防御系のスキルの耐久値に、Lv分の補整を掛ける。
防御力と魔法防御力を(Lv×1%)上昇させる。
遠隔防御Lv1
任意の位置に、SPを200消費して、自身の防御力と魔法防御力を持った盾をLvの枚数召喚できる。
魔法
無し
ステータス
名前 マルム 奴隷
Lv1 職業魔法使いLv1 11才 女
HP150 MP300 SP100
攻撃力 10
防御力 10
魔法攻撃力 100
魔法防御力 80
素早さ 80
スキル
高速詠唱
詠唱速度を3倍にする。
SP変換
SPを2消費して、MPを1増加させる。
職業スキル
魔力操作Lv1
魔力を操れるようになる。Lvにより効果が上昇する。
魔法貯蔵Lv1
魔法を唱えた状態で、貯蔵できる。
唱えた時点で魔力は消費される。
貯蔵数は、Lv分だけ貯蔵可能
魔法
回復魔法Lv1
火魔法Lv1
風魔法Lv1
とりあえず、確認することも終わったので、ギルドに向かうことにした。
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ギルドに着くと、受付嬢が走ってきた。
「おはようございます!
ミナさんが昨日捕まえた犯罪者ですが、中にギルドで指名手配されている危険人物が居ました。
元々ギルドに所属していたBランク冒険者の中でも突出した実力を持つ者だったのですが、さまざまな問題を起こした末に、犯罪に手を染め逃亡し、ギルドがその行方を追っていました。
そんな人物がミナさんが捕まえた中に居たのです。」
えっ?
あの中にそんなヤバイ奴がいたの?
殆どなにもさせずに無力化したから、わからなかったな。
「今回のミナさんの功績を評価し、ミナさんをBランクにします。
まぁ、Bランク上位の実力を持った猛者を無傷で倒すような冒険者がFランクだと、ギルドとしても示しがつきませんからね。」
なんと、Bランクになってしまった。
「それと、昨日の犯罪者の売却金の一部です。」
そう言って渡されたのは、金貨30枚だった。
ダンジョンに行くための準備資金にしよう。
そう決めて、私達はギルドをあとにした。
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マーガムとマルムを連れて、服屋に来た。
中に入ると相変わらず大男ゴーレムが仕事をしていた。
またしても、大男の胸から小さい女の子が出て来た。
「いらっしゃい!
また、来てくれたんだね!
今日はどんな服を探しているのかな?」
「今日は、私達の服を買いに来たんだよ。」
そう言うと、マーガムとマルムは驚いていた。
「いいんですか?」
マーガムが聞いてくる。
「もちろん!
私は衣食住は保証するつもりだからね。
まぁ、初日は金欠で申し訳なかったけども…
とにかく!この後もいろいろと買い物はするからね。」
そんな会話をしている間に、店員の女の子がいろいろと見繕ってくれた。
私は、動きやすい服装を着替え含めて3着、マーガムは遠慮したのか、質素な服を2着、マルムも可愛い服を2着を購入した。
合計で金貨15枚だった。
支払いを終えたあと、少しだけ女の子と会話をしてから、店をあとにする。
次はポーションなどの消耗品を買いにいかないとね。
私1人なら、《干渉無効》でポーションですら効果が無くなるから要らないんだけど、2人はそうはいかない。
とりあえず、体力回復ポーションを10本と魔力回復ポーションを5本購入した。
全部で金貨6枚のところを、全部で金貨5枚にしてもらえた。
騎士のマーガムには、体力回復ポーションを5本渡し、魔法使いのマルムには、体力回復ポーション5本と魔力回復ポーション5本を渡しておく。
ポーション購入後、日保ちする食糧を買いだめしておく。
金貨4枚で買えるだけ買っておく。
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私達は、ご飯を食べにレストランに来ていた。
しかし、奴隷は外だとか、床で食え(しかも最低限の食事)だとか言われて、私が店から飛び出すのが5回目になった。
そろそろ2人はお腹が空いた頃だろう。
そして私達はある店にたどり着いた。
[食事処 平等謳う精霊亭]
とりあえず入ってみて、奴隷と一緒にご飯が食べれるか聞いてこよう。
中に入ると、客は誰も居ないように見えた。
「いらっしゃーい…」
なんとも間の抜けた声が聞こえた。
声の聞こえた方へ目を向けると、そこには、金髪美人なエルフが机に突っ伏していた。
「ごめんねーこれが私の基本スタイルだからーで、食事がしたいのかなー?」
「そうなんですけど、奴隷と一緒でも大丈夫ですか?」
「もちろんー大丈夫だよー。」
私は、2人に店に入るように声をかける。
2人が店に入り、席に着くと先程の金髪美人なエルフ(ティーナと言うらしい)が注文を取りに来た。
メニューを見るが、オススメとしか書いていないので、オススメを3つ注文する。
ティーナさんが厨房に入っていきしばらくして、料理を運んできた。
「本日のオススメー、サーベルマンモスのステーキー、ちなみにー、私がー狩りましたー。」
私達の前に出て来たのは、とても大きなステーキだった。
これ、サーベルマンモスどんだけデカいのかな?
しかも、ティーナさん自分で狩ったとか言ってるし、もしかして、ティーナさん冒険者なのかな?
ただ、相手の詮索はマナー違反だし、美味しそうなご飯があるのに食べないのはもったいない。
私はご飯を食べ始めたのだけれど、マーガムとマルムが手を付けていない。
これはまさか、異世界奴隷名物、食べていいというまでお預け、というやつか?!
一応聞いたら、ホントにそれだったので、許可を出すと同時に、これからは私と同じタイミングで食べていいと言っておく。
毎回言うのも面倒だし、なによりも美味しいものは美味しい内に食べるに限るよ。
サーベルマンモスにナイフを入れた瞬間、肉汁が溢れた。
切り分けたサーベルマンモスを口に運ぶと、旨味が爆発して、口の中に旨さを残して消えてしまう。
あまりの美味しさに、食べる手を止めることなく夢中で食べた。
食事が終了し、お会計しようとしたときに気が付いた。
そういえば、料金が書かれてなかったことに。
しかし、食べてしまっているし、とても美味しかったので、覚悟を決める
「すいません。 お会計お願いします。」
「オススメ3つでー、銀貨20枚ねー。」
「えっ?!」
おかしい。
いくらなんでも安すぎる。
そう考えているのが伝わったのか、ティーナさんが説明してくれる。
「この店はー、平等謳う精霊亭ー、奴隷だろうとー、貴族だろうとー、平等だと主張した店なのー、だけどー、この世界にはー、そういう考えの人はー、ごく少数しかー、いないのー。
だからー、あなたのようなー、人が来てくれてー、嬉しかったのー。
それにー、基本的にー、食材はー、自分で獲るからー、調味料にしかー、材料費がかからないしー、この値段でー、大丈夫ー。」
「ありがとうございます。」
ティーナさんにお礼をいいつつ、銀貨20枚を渡す。
「ありがとうございましたー。」
私は始めて、宿屋の馬小屋以外に泊まった。
なんとか獣人奴隷を受け入れてくれる宿屋を探しだし、金貨1枚で1泊したのだった。
明日は、遂にダンジョンだ!
11話でダンジョンに行きますが、
その前に幕間の話を挟みます。