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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第二部 第三章 世界救済
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第15話 方針

「………あなた、本当に規格外なんですわね。」

 クレーメさんとマーガムがいる地点に《過程省略》を使って移動すると、クレーメさんからそんなことを言われた。


「いや、今回の邪神の概念に私の概念が相性が良かっただけですよ。」

 それにクレーメさんからの情報が無かったら危なかったかもしれない。


「それでも最上級下位の邪神を圧倒できるなんて、流石最上級中位の神ですわね。」

「そういえば階級の違いでどれくらいの力の差があるんですか?」

 私の問いを聞いたクレーメさんは大きなため息をついた。


「あなた、そんなことも知らないであの学校にいるんですの?」

「え、まさか、常識ですか?」

「当たり前ですわ!まぁ、知らないものをそのまま、というのも可哀想なので、教えて差し上げますわ。」


 クレーメさんの話をまとめるとこうだ。

神も邪神も階級は一緒で、頂点に創造主、邪神の場合は暗滅主が1人だけいて、それよりしたの階級は最上級、上級、中級、下級の4階級に別れ、階級毎に上位、中位、下位の3ランクに分類される。


 どの階級でもその階級以内で下位の神が中位の神と戦おうと思ったら、相性等にもよるが、基本的に下位5対中位1でようやく同等らしい。

 さらに階級が違う相手なら、下級上位と中級下位の場合、下級上位10対中級下位1くらいはいないと同等にならないようだ。


 たまにこの法則に当てはまらない神が現れるらしく、そういった神は大体が最上級の神になるのだそうだ。

 こんな感じの説明を最後の辺りは私に指を向けて、あなたの事ですわ!と言わんばかりの表情でしてくれた。


「あと、もうひとつ、聞きたいことがあるんですけど…。」

「なんですの?」

 まだあるのか、そう思っていそうな言い方だった。


「あ、いや、レムナとコランはどこにいるんですか?」

「あぁ、あの2人なら………、レムナはあそこでずっと寝ていますわね。」

 クレーメさんが目を向けた方向を見てみると、雲の上で寝ているレムナがいた。

 あれ、どうやって寝ているんだろう?


「コランには避難誘導をしてもらっていましたが、そもそもコランは声をあまり出さないので街のまとめ役の方にやってもらい、コランには護衛をしてもらいましたわ。」

 コランの姿は全然見えない、おそらく邪神の概念の効果範囲よりも遠くに逃げているのだろう。


 とりあえず全員を集めた方が良さそうだ。

 私はレムナの元まで《過程省略》を使って移動して、レムナを起こさないように抱えて、マーガムにクレーメさんから少し離れた場所に《時空間収納(アイテムボックス)》からベッドを取り出して設置してもらい、ベッドにレムナを寝かせた。

「んぅ、ありがと…zzZ」

 レムナはいつも通りだね。


 さて、次はコランを迎えに行こう。

 クレーメさんにコラン達が向かった方向を聞いて、その方向に向かって《過程省略》を使って移動する。


 《剣神》の感知範囲にコランさん達が引っ掛かるまで、《過程省略》を使っての移動を繰り返す。

 しばらくすると、感知範囲内にかなり多い人数で森を移動している一団を見つけた。


「この中にコランいませんか?」

 一団の進行方向に《過程省略》を使って移動し、一団の動きを止めないように移動しようとしたのだが、一団の動きが止まった。


 ………あ、あれ?


「うわぁあ!?邪神が追ってきた!?」

「え、いや、邪神じゃないんですけど!?」

 すぐに邪神が追ってきたという情報は拡散し、人々が私から離れるように逃げていく。

 私が呆然としていると、人々が居なくなった場所にコランがいた。


 相変わらずの髪の毛の長さで、森の中に佇んでいるとかなりホラーなんだけど………。

「………?なんで、いるの?」

「天使に、あなた達の救済している世界に最上級の邪神が現れたから排除して欲しいって依頼されたからかな、邪神はもう倒したし、腐食した大地も浄化はしたから大丈夫なはず。」

 コランがコクコクと頷き、逃げた人々を追っていき、しばらくすると逃げた人々が戻ってきて、代わる代わるお礼を言ってくれた。


 一団をまとめている人に邪神との戦闘跡地に戻るかと聞くと、是非、とのことだったので、全員に手を繋いでもらい、《過程省略》を使って全員一斉に移動した。


 戦闘跡は神同士の戦闘がどれ程激しいものかを物語っていた。

 それを見た人々は様々な反応を見せている。

 純粋に驚く者、どうすればそこまでに至れるのか考察する者、そして恐ろしいと嘆く者、他にもいるが大体はこの3つの反応だ。


 ちなみに《過程省略》による瞬間移動については、神だからできるよねってことでスルーされた。


 私達学生組は集まってこれからどうするかを話し合った。

 ひとまず最上級の邪神も居なくなったことで学校への帰還が出来るようなので、私とマーガムは帰還することになった。


 クレーメさん達はこの世界を邪神に襲われる前の豊かな自然や活気に溢れた街作りを取り戻すことで、この世界の救済とするようだ。


 みんなの方針が決まると、私の聖炎大神剣(ヴァーン・レイテ)が光と炎に包まれて私に近い身体的特徴で髪の毛の半分が白銀でもう半分が赤色のすらりとした女の人が現れた。


「おかーさん、忘れてなかった?」

 いや、忘れてたとか、そういう問題じゃなくて、誰?!って言いたいけど、ヴァーンとレイテが合体した姿というのは発言や今までのことから理解した。


「いや、忘れてはいなかったけど、人の姿に戻らなかったから、このままがいいのかなって思ったんだよ。」

「むぅ…。」

 それだけ言うと、ヴァーン・レイテが光に包まれ、光が収まるとヴァーンとレイテの2人がそこにいた。

 私とマーガムそしてヴァーンとレイテはクレーメさんを経由してこの世界の神に学校へと転送してもらった。



 ~遥か遠く~

「ふーん、この神、やるわね。」

 少女はミナの映る水晶を見て呟く。

「会うときが楽しみね。」

 少女はそう言うと水晶を懐にしまうと、闇の中に消えていった。

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