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勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第二部 第三章 世界救済
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第12話 図書室

 朝、目を覚ました私達が図書室に向かう準備をしていると、ヴァーンが行きたくないと駄々をこねはじめた。


「おかーさん!行きたくないよー、本しかない場所になんて行きたくないよー!」

 残像が見えるほどのとんでもないスピードで床を転がっている…。


「母さん、早く行こう。」

 レイテはかなり楽しみみたいで、さっきから扉の近くを行ったり来たりしている。

 ヴァーンとレイテの反応が真逆なのに、じっとしていられないのはかわいいと思う。


「レイテはもう少しだけ待ってね?」

「むぅ、わかった。」

「ほら、ヴァーンも、きっと面白い本もあるから、ね?」

「うぅー、一緒に面白い本探してね?」

「うん、一緒に見つけようね。」

 ヴァーンの説得が終わり、私達は全員で図書室を探しにひとまず校舎に向かった。


 校舎にある案内図を見ると、図書室の場所はどうやら校舎の地下にあるようだ。

 行き方は不親切なことに書いてないので、自分達で探すしかない。


 とりあえずいつもの移動手段を試してみる。

 概念 絆を使い、薫のスキル《意思あらばすべてを成す》を借りて発動、概念 斬撃を使って空間を切り裂き、図書室への穴を開けた。


 図書室に穴が繋がっているはずだけど、何かあったら心配なので私から先に入る。

 すると私の目に映ったのは、図書室とは似ても似つかない、均等に機械が並び立ち、本など一切なく、少し離れた場所にテーブルと椅子が置かれているだけの殺風景な場所だった。


「あれ?場所間違えたかな?」

 そう思って生徒手帳を見てみると、やはりここは図書室のようだ。

 本なんて一冊も見えないので、本当に図書室かどうか怪しいところではある。


「おかーさん!図書室だった?」

 おっと、みんなが待ちきれずに来てしまったようだ。


「いや、図書室のはずなんだけど………。」

 まさかこんな本すら見当たらない場所だとは思わなかった。

 とりあえずあの機械で何かわからないだろうか?

 そう思った私は機械に近づいていった。


 機械には操作手順が記載されており、どうやらこの機械で欲しい本を選べばいいみたいだ。

 とりあえずどんな本があるのかな?

 さっと見てみるが、検索してある程度絞らないと多過ぎてわからないレベルだ………。


 ひとまずヴァーンに読んでもらう漫画を探すことにした。

 とりあえずジャンルはバトル物でいいかな?


「えっと…、漫、画、バトル物っと、えっ?こんなにあるの?」

 検索結果を見るが全然検索可能数が減らない。

 こうなったら大手の雑誌で検索したほうが早いかもしれない。


「えっと、ジャ○プ…っと。」

 検索結果は無情だった。

 私が知っている時代のジャ○プより先の時代の物、別の世界のジャン○が検索結果として表示されたのだ。


「おかーさん、なに見てるの?」

 ヴァーンが私の操作している機械を覗きこんでくる。

「ヴァーンはこの中に読みたいと思う本はある?」

 私が選ぶよりもヴァーンに選んでもらった方がいいと思ったので聞いてみる。


「えー?うーんっとねー、………?これ絵だよ?」

「えっ?漫画だよ?」

「…?絵だよ?」

 ………まさか、漫画が無いのかな?


「これはね、漫画っていって、うーん、なんて言ったらいいんだろう………。」

 私の語彙力では、漫画は漫画としか言えないんだけど…。


「おかーさん、これは絵で表現した本なんだよね?」

 そう、それだ!

 私は全力で首を縦に振った。


 しかし、どうやって見るんだろう。

 まさか電子書籍みたいな感じなのかな?

 画面をよく見ると、ダウンロードマークっぽいマークが書いてあったので、そこをタップすると、機械から本が出て来た。


「おかーさん、私この本あっちで読んでくるね。」

 そう言ってヴァーンは機械から出て来た本を持って、テーブルと椅子が置かれている場所に走って行ってしまった。


「母さん、私も読みたい本を見つけた。」

 そう言うレイテが一冊の本を抱えてきた。

「ヴァーンの近くで読んでるから、なるべく近くにいて欲しい。」

「わかった。なるべく早く2人のところに行くよ。」


 しかし、本の数が多過ぎてどれがいいのか全然わからない。

 とりあえず、魔法関連の本でも無いかと思って検索してみると、4冊しか見つからなかった。


 これだけ?

 そう思ったが、この4冊の中に他の本が内蔵されているみたいだ。

 1冊の中に内蔵された本を検索していき、ようやく魔法の理論[完全版]なる本を発見し、その本を出して、ヴァーンとレイテのいる場所に向かった。


 魔法の理論[完全版]には、魔力を認知する方法から、概念到達魔法という最強の魔法の構築方法まで、さまざまな知識が記載されていた。

 ヴァーンはかなり熱中して読んでいるし、レイテもかなり集中して本を読んでいる。

 マーガムは受験前の学生のように本を積んで、それを読んで紙に書くことで必死に覚えようとしている。


 しばらく本を読んで過ごしていると、図書室に営業終了のアナウンスが流れる。

 私は寝てしまったヴァーンとレイテを背負って、マーガムと一緒に宿舎に戻った。

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