第7話 間違えられた!
天使によって転移させられた私達は、周囲の状況を把握することにした。
………とゆうか、こういうのは転移先にその世界の神がいて、現状の説明をしてくれるとかのサービスがある物じゃないのか…。
まぁ、愚痴っていても仕方ないと思い、私は周りを見渡す。
しかし見えるのは、少し大きい太陽と、地平の果てまで続く砂漠だった。
………これ、詰んでない?
草木が無いのはもちろん、空気中の魔力が薄い、この世界で魔法は私みたいな回復するスキルが無いと、満足に使えない気がする。
………世界の再生は遠そうだ。
とりあえず街か村を探すために、マーガムを背負って、セイスには一旦神界で待機してもらうことにした。
私のスキル無しの全速力についてこれるのなんて、エクスが《極限突破》を使えてようやくなんじゃないかな?
まぁ、私には概念 加速があるから、時間が経てば経つほど追いつけなくなる上に、《過程省略》もあるから追いつくとか無理だと思う。
…っと、話が逸れたけど、とりあえずセイスには神界で待機してもらい、私達は人の住んでいる場所を探して砂漠を《過程省略》を使って移動を開始した。
何回か《過程省略》で移動すると、遂に断崖絶壁に囲まれた街を《剣神》で見つけた。
私達は断崖絶壁にある街へと続くであろう門から入ることにした。
門に向かって歩く私達に向かって、城から火魔法の雨が降り注ぐ。
マーガムが《遠隔防御》を発動し、私達の前に半透明の壁が作られ、火魔法は半透明の壁にぶつかり、小さな爆発を起こして消えていくが、半透明の壁は破られるどころか、ひびすら入っていない。
しばらくすると門が開き、中から王様っぽい見た目の男が姿を表した。
「邪神の力、もはやここまでの物だとは…。頼む、私の命はくれてやる、だが、この国の国民には手を出さないでくれ。」
………来て早々邪神に間違えられた!
「私達は邪神を倒しにきました。」
「えっ?!」
王様っぽい見た目の男が、マジで?と目で言ってくる。
「僕達は、あなた達の味方です!」
「信じられるか!!」
まぁ、そうだよね。
邪神が攻めて来ているのに、呑気に私達を迎え入れたらあまりにも無防備だとは思う。
とりあえず、なんとか私達が味方なことを分かってもらわないといけないかな?
どうすれば味方だと思ってもらえるだろう…。
そう私達が考えていると、邪神の眷族とその手下のモンスターが私達の後ろに現れ、私達に襲いかかってきた。
私は振り向きもせずに、《時空間収納》から聖剣を3本取り出し、《剣神》で取り出した聖剣3本を操り、邪神の眷族と手下のモンスターを一瞬で掃討する。
すると、私とマーガムを囲むように魔法陣が展開され、魔法陣からモンスターが召喚された。
召喚された一部のモンスターは街に向かったが、それ以外のモンスターはすべて私達に向かって来た。
いくら中級の邪神とはいえ、無尽蔵にモンスターの召喚を行うようなことは出来ないはず。
そう思った私はマーガムに街を守るように伝えてから、現れたモンスターを街に向かった分も含めて残さず討伐していく。
だが、モンスターは絶えず私達を囲むように召喚され続けている。
何かがおかしい…。
中級の邪神がモンスターをここまで召喚出来るものなのかな?
とりあえず街には直接モンスターは召喚されないみたいだから、街の近くまで向かって戦いつつ、情報を集めることにしよう。
《過程省略》で私達は門の前まで一瞬で移動した。
3本の聖剣はモンスターの群れの中からモンスターを討伐しながら、私達の元に向かってくる。
しかし、モンスターの数は減ることは無く、むしろ増え続けている。
私が邪神について考えながら戦っていると、「この世界に攻めてきた邪神は8柱だ。」と王様っぽい見た目の男が教えてくれた。
あぁ、なるほど。
確かに8柱も邪神がいたら無限にモンスターの召喚も出来そうな気がする。
「邪神がどこにいるかは?」
「あそこだ。」
王様っぽい見た目の男が指差した方向を見てみると、そこには真っ黒な空飛ぶ城があった。
「………ラ◯ュタの黒いバージョンみたい。」
そうとしか言いようがなかった。
「あの城に8柱すべての邪神がいるんですか?」
「そうだ、奴等がこの世界を襲撃する際に、襲撃が終わるまであの城から出さない。と、この世界の神が言っていた。」
で、この世界の神はどこにいるんだろう?
聞いてみたが、知らないようだ。
「もうこの街以外の街は邪神に滅ぼされ、村が僅かに残るだけだ。だからこの街に全ての戦力を集中させて一気に叩くつもりだ。」
邪神が8柱もいるなんて聞いてないんだけど…。
確かにあの天使、邪神が何柱で攻めて来ているかは言って無かったけどね。
しかし、8柱も中級の邪神がいるのなら、街の戦力では確実に全滅してしまうだろう。
「わかりました。でも、私が邪神のいる城に乗り込みます。街はこの子が守りますから。」
「1人で向かうのか!?自殺するようなもんだぞ!?」
邪神と同程度の力も持たずに玉砕覚悟で挑む方が自殺するようなものだと思うんだけど…。
「それに、そいつ1人でモンスターの軍勢をなんとか出来る訳がない!」
「それはあなたが判断することじゃないです。」
有無を言わせずに私は準備を進める。
マーガムの防衛能力は私や仲間達が認めている。
私は、《時空間収納》から神刀と神剣を取り出す。
「ミナさん、僕は絶対にこの街を守ります。だから、無事に戻ってきてください。」
「うん、マーガムも怪我しないでね?それじゃあ、行ってくるよ。」
私は《過程省略》を使って邪神のいる城に向かった。