表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者から逃げだした聖剣  作者: 黒一忍
第二章 ホゾンの街
10/168

第9話 イレギュラーと契約魔法

4/8 前話に、マーガムとマルム兄妹が、獣人型の犬獣人であることを追記しました。

 《剣域》によって、複数の人間が、私達の周りを取り囲んでいることに気付く。


 そして私が警戒し始めると、カートがそれに気が付き振り返る。


「まさか、この距離で気が付けるとはね。

 大人しく捕まってくれると、ありがたいんだけど?」


 カートがそう言うと、認識していた人間がすべて、姿を表した。

 その数、なんと20人にのぼる。


「捕まえてどうするつもり?」


「そりゃあ、奴隷として売るよ。

 君みたいな美人なら、相当な金額になるからね。」


 そう言うカートの後ろに、マーガムとマルムがびっくりしたような顔をしていた。


 よかった…。

 あの子達は無関係のようだ。


 そういえば私、武器を持ってなかったな…

 襲われた理由もしかして、武器を携帯してなかったからかな?


 私は自分の髪の毛を1本引き抜き、《武器変化》を使用した。

 髪の毛も【神鉄】で出来ているので、十分凶器として認定できるだろう。


 髪の毛を刀に変える。

 すると、白銀の刀身に蒼のラインの入った【神鉄】の聖刀が作り出される。

 しかし、《武器変化》を使って【神鉄】を武器にするとどうして、白銀の刀身と蒼色のラインが固定されるんだろう?


 まぁ、とりあえず今は集中しよう。


「なっ?!

 なんだ? その剣は…。」


「これは、私の刀ですよ。」


 恐らく、剣がいきなり出て来たからこその問いだろうが、真面目に答えることもないので、そう言ってから、刀を軽く振る。


 刀を振ったら衝撃波が発生した。

 その衝撃波に当たった3人が戦闘不能になる。


「なんだ?!」

「えっ?!」


 カートが驚愕の声をあげ、僅かに硬直する。

 私も同時に、僅かに声が出てしまうが仕方ないと思う。

 正直、少しだけ期待していたのだが、タクトが出していた衝撃波よりも、威力が低いとはいえ、出せると思っていなかったのだ。


 それも、たいした力を入れることなくただ振っただけで。

 とりあえず今は置いておいて、カート達を無力化しよう。

 元日本人がいきなり人殺しなんてやれたら、完全に狂ってると思うんだよね。

 スプラッタとか、本当に勘弁してほしい。


 私は、周りを取り囲んでいる人間から、片付けていくことにする。

 それぞれに、峰打ちや、掌底などで木に向かって飛ばしていく。


 18人を戦闘不能にした時には、カート以外の2人はすでに逃げていた。


 《剣聖》のスキル補整で、どう動くのが最善か、直感的に理解出来たおかげで、ここまでの戦果をあげることが出来た。


「そんな、バカな…」


 すでにカートには、逃走するための時間も、戦うための気力も、存在しなかった。

 マーガムとマルムに命令とか、されなくてよかったよ。


 その後ろには、マーガムとマルムが口を開けて、信じられないものを見たという顔をしていた。


 私は剣を向けたまま、カートに話かける。

「まだ、やりますか?」


 カートがその場に崩れ落ちる。


 その瞬間、私の脳内に直接[レベルアップしました]という声が響いた。

 ステータスを確認すると、自身のレベルが6になり、剣姫がレベル2になっていた。


 どうやら、殺さなくとも経験値は入るようだ。

 そして経験値は、戦闘が終わってから、自身に入ってくる仕様のようだ。


ステータス

名前 ミナ・ルシーナ

Lv6 職業(クラス)剣姫Lv2 16才 女

HP4000 MP6000 SP1500

攻撃力 表示不可

防御力 表示不可

魔法攻撃力 表示不可

魔法防御力 表示不可

素早さ 表示不可


スキル

武器変化

高速回復Lv8

干渉無効


魔法

回復魔法Lv1

水魔法Lv1

光魔法Lv1


職業(クラス)スキル

剣域

剣聖Lv2

限界突破Lv2

並列思考Lv1


 なるほど…、職業(クラス)のレベルが上昇すると、職業(クラス)スキルのレベルも上昇するのか。


 新しいスキルが増えているが確認は後で宿屋でやることにした。


 とりあえず、誘拐犯達の荷物を調べて、縄を見つけたので、全員を縛っておいた。


 確か、こういうことが発生したら、ギルドに連れて来てくれればいいって受付嬢が言っていたので、ギルドまで連れていくことにした。


 マーガムとマルムの2人は、誘拐犯達の荷物を持ってきてくれるようだ。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


 門で驚かれて事情を説明する以外、何事も無くギルドに到着した。


 ギルドに入り、受付嬢に事情を説明する。

 すると受付嬢が、カートを始めとする誘拐犯達のステータスを強制的に確認し始めた。

 ギルドの職員は、相手が犯罪を犯している場合にのみ、相手のステータスを開示させることができるスキルを持っている。

 犯罪を犯していない場合には、ステータスが開示されないので、間違いも起きないらしい。


 誘拐犯達のステータスが開示された、ということは犯罪を犯している事の証明になるのだ。


「確認が終了しました。

 この者達は、誘拐の常習犯ですね。

 犯罪奴隷として売却します。

 売却完了後に、売却価格をミナさんにお渡しします。」


 どうやら、思わず臨時収入になるようだ。


「それと、カートには奴隷が2人居ますが、こちらはミナさんに所有権が移ります。」


 マーガムとマルムが仲間になった。


 とりあえず生活費が心配だ…


 マーガム達の所有権が移った事によって、ギルドが契約魔法を使ってくれた。

 契約魔法は、守らないとかなり重い罰が課せられ、最悪の場合は死ぬ魔法らしい。

 なんでも、神様が契約の履行を確認するらしい。


 私はとりあえず、私の事は口外しないこと、私を裏切らないこと、命令は自分で考えてから従うかを決めること、私が奴隷への料金の支払いが出来なくなった時、もしくは奴隷自身が自身を買い戻したときに奴隷契約を解除すること、を契約の中に記載しておいた。


 その後、薬草を受付嬢に渡し、クエストを完了して、銀貨1枚と銅貨20枚を得たので、昨日と同じ宿屋の馬小屋で銀貨1枚で泊まり、3人で寝た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ