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紅虎爪
ギャリン、という音がした。
ギャリン、ギャリン、ギャリン、と。
その音が響いた後に、虎子が磨き抜かれた片手鍋を置いた。
一方で、弓徒はまだそれを洗っている。
手こずっている。
原因は、焦げである。
鍋の底にこびり付いた焦げ。
一流の皿洗い師であれば勿論大した問題ではない。
単に洗うだけならば、洗える。
事実、弓徒も洗い終えた。
洗えない汚れではない。時間を掛ければ。
しかしここは決闘の場である。
弓徒が鍋を一つ洗い終える間に、虎子は3つ目に手を掛けている。
唐突に明確になった実力差。
「出たか……紅虎爪……」
それを見て、唐馬がぽつりと漏らした。
「紅虎爪?」
「何か凄い技っぽいけど……何をしとるんですか?」
疑問の声を発する喜一。
首を傾げる当麻。
二人に向けて、唐馬は言った。
「当麻君、君は鍋の底に付いた焦げを取る時、爪で引っ掻いたりしないかい?」
「あぁ〜頑固な汚れだとしちゃいますねぇ……って、まさか……」
「そのまさかだよ。紅虎子の誇る妙技、紅虎爪は、研ぎ澄まされた爪によって汚れを無理やり落とす技なのだよ」




