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皿洗い師・喜一 everyday dish washing  作者: O.S
第三章 battle study・紅
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普通の不思議

 綺麗に見える。

 端から見れば。

 恐らく、違いはない。

 洗った皿に異なる点はない。

 皿は皿である。

 なのに……


「不思議かね?」


「はい」


 唐馬に尋ねられ、喜一は素直に頷いた。


「不思議です。あれはどういう事ですか? 何故、綺麗に見えるのですか?」


「弓徒君の方が、単に洗い方が丁寧なのは見てわかるね?」


「はい」


 弓徒の洗い方は普通のそれである。

 スポンジで皿を磨く。水で流す。水を切る。ラックに置く。

 そこに特別な動作はない。

 特別な動作がないという事は、無駄がないという事である。

 最適化されているという事である。

 派手だが、自由気ままに皿を洗っている紅虎は無駄が多い。

 故に、弓徒の方が綺麗に見える。

 ——しかし、それだけではないと感じる。


「他に何か理由があるのでは?」


「そうだね。まあ、もう少し見ていればわかるのではないかな。彼も彼女も、これから本気を出すところだろうからね」


 唐馬がそう言ったのと同時に、喜一は感じた。

 場の雰囲気の変化を。

 戦いが、新たなるステージに突入した事を。


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