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公式グッズは皿とスポンジ
決闘である。
選択されたのは、サドンデス。
直訳で、突然の死。
とは言え、勿論死ぬわけではない。
ただ、皿洗い師として死ぬというだけである。
この相手には勝てない。
そのような精神的敗北が、勝敗を決める。
どちらかが力尽きるまで技を競い、皿を洗い続ける。
単純なバトルスタイルである。
会場は、広い。
観客は、多い。
国民的なスポーツの、国際的な大会に使われるスタジアムが開放され、それを使うに相応しいだけの人数が集まっている。
縁日以上に多くの出店がある。
アルコールも売られている。
世界皿洗い協会公式グッズである記念の皿やスポンジも売られている。
十二支に名を連ねる者が皿を洗う時は、基本的に大事になる。
世界皿洗い協会のさらなる権威拡大の為に。
人々の深部へ皿洗いを更に印象付ける為に。
莫大な金が動き、壮大なエンターティメントが発生するのである。
「ここまで大事にしてくれなくても良かったんだけどなぁ〜」
その只中にいる紅虎子は、設置された大会用シンクの前でやれやれと一人溜息を吐いた。




