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そして一週間
「少し長くなってしまったが、そういうわけだよ」
「そんな事が……」
「彼が戦う理由がわかったかな?」
「はい」
ならば、確かにこれは譲るべき勝負であろう。
ただ、問題は……。
「今のままでは勝ち目がないのですか?」
「まず間違いなくね」
「……」
譲るべき勝負であった。
が、果たして勝ち目の無い戦いを譲るべきだったのか。
敗北必至。
本人はそれをわかっていながら戦うのか。
だとすれば、それこそ敗北は避けられない。
心で負けている者が勝つ事は無い。
復讐とは熱い炎のように感じるが、根本にあるのは劣等感である。
己の弱さである。
それを抱えたままでは……。
再び過る不安。
せめて弓徒が師事した人物が、圧倒的強者である事を願うしか無い。
「とにかくだ、私達も皿を洗おう。皿洗いこそが皿洗い師の本文だからね」
「はい」
洗うしかない。
洗い続けた先に、未来がある。
話し終えた二人は店を開店させた。
そして、弓徒を信じて皿を洗った。
一週間はあっという間に過ぎた。
決戦の日が、やってきた。




