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皿洗い師・喜一 everyday dish washing  作者: O.S
第三章 battle study・紅
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爪

「これもしかしてあれ? あの時の恨み! お返しだ! ってやつ?」


「そうだ」


「ふーん。そっか。……一つ聞いていい?」


「何だ?」


「あの時って、どの時?」


「何!?」


「その傷があるってことは、前に私に負けたってことでしょ? でも、そーいう目にあった生意気な下手くそはいっぱいいるからさー」


「て、てめぇ……!」


「と言うか、誰?」


「——!」


 虚仮にされている。

 舐められている。

 敵として認識されていない。

 これには黙っていられない。

 瞬間、弓徒の肉体から発せられた怒気が、周囲の空気を震わせた。

 ——が、


「誰だか知らないけど、邪魔するならさぁ」


 虎子が笑った。強烈に。


「っ!?」


 同時に、弓徒は見た。死の形を。巨大なる肉食獣の爪を。それが自らの眼前にあるのを。


「次は逆サイドにつけてあげよっか?」


 冗談ではない、本気の問い。

 無論、今見えているものはイメージであり、現実にはまだ何も起こっていない。

 しかし、このままでは——


「ぐうっ——!?」


 やられる。

 かつては一方的にやられた。けれど、今の自分ならば勝負出来る。

 そう思っていた。

 その認識の甘さを、彼は後悔した。

 その時、


「待ちなさい」


 唐馬歩が、声を上げた。


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