大きな問題
「不味かったですね。決闘の場で、あなたの名前を出したのは」
軽い口調だった。
「あの様子だと、あなたは自分が何者か、彼に教えていなかったようですね」
世間話をするような。
「協会員が野良の皿洗い師に負ける。これは別に問題じゃないんです。そういう事は稀にありますからね。飛行機が墜落するくらいの確率ですが」
どうでもいい話しをするかのような。
「負けたら、次は勝てばいい。協会は不敗神話を誇っていたりはしません。皿は汚れるものです。それと同じで、汚れても綺麗にすればいい。そういう理念があります。あなたも、それについてはよく知っていると思いますが」
そういう口調だった。
「けれど、あなたの愛弟子が協会員を倒したとなれば、話しは別です」
「喜一は私の弟子では……」
「無い。というのは、もう通用しませんよ」
ようやく重い口を開けた唐馬とは対象的に、羅人の声は軽い。
だが、それ故に怖さを含んでいる。
「協会員を倒した者の口から、あなたの名が出た。これは問題です。かなり大きなね」
「……」
「近いうちに来ますよ。刺客が」
「……それは君の事か?」
鋭い眼を、唐馬は羅人に向けた。
「まさか。むしろ逆ですよ」
羅人は肩をすくめた。




