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皿洗い師・喜一 everyday dish washing  作者: O.S
第一章 everyday
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ギブ・アンド・テイク

「これで終わりか」


 流し台とテーブルに眼をやり皿が無い事を確認すると、そこでようやく喜一はスポンジを置いた。

 スポンジを置く前に、もう一度洗剤を染み込ませて除菌をするのも忘れない。


「おー!さっすがは喜一君やね!いつ見ても惚れ惚れする腕前やわー」


 眼を輝かせ、塔に目を向ける斗真。その瞳には建前ではなく本音の感動があった。

 だが、喜一はどこまでもビジネスライクだった。


「世辞は良い。仕事は終わった。報酬を貰う」


「報酬はお昼ご飯やろ?」


「そうだ」


 皿洗い師は皿を洗って対価を得る。

 大抵は金だが、喜一の場合は飯である。

 生きる為に必要な糧を、皿を洗う事で獲得するのだ。


 究極のギブ・アンド・テイク。


 それが、皿洗いなのだ。


「おっけーい!ほんじゃあ出かけますか!着替えるからちょっち待ってねん!」


「心得た」


 喜一は斗真に背を向けたまま、頷いた。


 男は黙って背中で語る。


 これが皿洗い師。


 これが千歳喜一。


 彼は今日も、生きる為に皿を洗う。


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