リアクション・ノーリアクション
ここは所謂オーセンティックなバーではない。
静かに酒を飲む者が多い時は静かであり、少なければ騒がしい。
隣の客と意気投合して会話が盛り上がることもままある。
実際、今日もカウンターには見知った顔が多い。
それで、斗真はどうでもいい話の種にでもなればと、わざわざ大きなリアクションを取ったわけだが、
「んー?」
何も起こっていない。
あれだけ大きなリアクションをしたというのに、誰もがノーリアクション。
気付いていない?
いや、気付かれていない?
一体どういう事なのか?
まだアルコールの回りきっていない斗真の思考回路は、即座に答えをはじき出した。
「そこの皿洗いしてるおっさん」
「俺?」
「あんた、何かしてるやろ」
「よくわかったね」
あっさりと、羅人は肯定した。
「こんなところで何かこんな不思議なこと出来るのは、皿洗い師ぐらいやもん」
「鋭いね」
「でも、何をしたかはわからん」
「そうなんだ」
「教えてくれん? 気になるけん」
「企業秘密……と言いたいところだけど、気になるなら後で喜一君に聞いてみるといい。彼はわかっていると思うからさ」
「ちぇっ」
軽口だが、秘密をしゃべるタイプではない。
斗真はそれを見切り、話しはそこで終わった。




