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皿洗い師・喜一 everyday dish washing  作者: O.S
第二章 battle study・序章
43/184

呑み終わりて

 子丑寅未龍午未申酉蛇戌亥。

 暦を表す十二体の生き物。

 協会では、それは称号として扱われている。

 会長である在膳九龍を龍として、残りの十一のそれは、協会構成員2000万人の、その頂点に立つに相応しいと在膳九龍が判断した11人に与えられる名誉ある称号である。

 卯益羅人は、その中で卯を司っている。

 卯。

 兎である。

 一見すると可愛らしい印象を受けるが、羅人には可愛らしさなど一片もない。人懐っこい笑みを浮かべ、人辺りの良い態度を取るのは得意だが、それが兎の特徴かと問われれば、そうではない。

 内に秘めるは、野生。

 これからそれが開放される。


「最初は俺からやらせて貰ってもいいかな?」


 残り五分のところで、羅人が尋ねた。


「構わない」


 喜一は頷いた。

 皿洗いに、先手も後手もない。

 そう思っている風であった。


「いいね。良い顔してるよ。喜一くん」


 ちびりと、ウイスキーを口に含む。

 残り四分。

 ……三分。

 香りを嗅ぎ、ウイスキーを舐めるように飲む。

 ……二分。

 …一分。


「こんばんは〜」


 少し酔った様子の中年男性の声が、店内に響いた。


「さて、始めようか」


 羅人は残った僅かなウイスキーを一息に煽り、立ち上がった。


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