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決闘を止める者は、いない。
決闘。
果たし合い。
かつて世界で幾度となく行われて来た、勝ち負けをはっきりさせる為の、争い。
現在では決闘禁止法という法律があるが、皿洗い師に関しては例外として、適用されていない。
何故か?
それは、WDCが巨大な権力を有しているから。というのは勿論だが、偏に、人の為になるからである。
決闘が行われる場合、大なり小なり、多くの皿が、食器が、必要とされる。
更には、鍋や、フライパンなどの、調理器具もまた、洗う対象となる。
それだけの皿を、どう集めるのか?
答えは、至極単純だ。
ある場所から、だ。
飲食店や、一般家庭など。皿を扱う全ての場所から。なのである。
地域と家庭に貢献するこの決闘を止める者がいるだろうか?
無論、いるわけがない。
皿が、洗われるのだ。
故に人々は、決闘を歓迎する。
そして、人々だけでなく、当事者もまた、同じである。
決闘用のシンクに立ち、向かい合っている、二人。
シンクには、既に皿が満ち満ちている。
「準備はいいですか?」
陽は冷たい瞳で、喜一を見据え、問いかけた。
「ああ」
その視線を受け、喜一は頷いた。
「始めましょう」
陽が、開始を告げた。




