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皿洗い師・喜一 everyday dish washing  作者: O.S
第一章 everyday
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指、技

指弾。と呼ばれる技がある。


指の先で、何かを弾き、打ち出す。という、ただそれだけの、単純な技である。


単純であるが、しかし、使い手の力量を如実に表す技でもある。


打ち出すものが何であれ、指の力が足りなければ、弾となるものは飛ばず、威力も激減する。


力だけでなく、コントロールも必要である。


飛ばすのは、指で打ち出せる程度の大きさのもの。

それを目標物に確実にヒットさせるには、かなりの精密さが要求される。


パワーと、コントロール。


皿洗い師である陽には、その二つがあった。


常人の目には止まらぬ速度で、彼女は右の握った拳から、親指を弾き、あるものを飛ばした。

それが、喜一の背後の強化ガラスに亀裂を入れたのである。


驚くべき技量であった。


しかし真に驚くべきは、陽の飛ばしたものの方だ。


彼女が放ったのは、拭い損ない、指先に残っていた、僅かな水滴。


空気抵抗が無ければ、雨粒は人体を容易に破壊しうる威力を得るというが、まさしく、それに匹敵する事を、彼女は指先のみでやってのけたのである。


恐るべき技量であった。


が、しかし、恐るべきは、喜一もまた同じであった。


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