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つかぬこと
「そう言えば……少し聞きたい事があるのだが、良いかな?」
「なんすか?」
「君達は、協会の人間なのか?」
「あー……」
やはり、と弓徒は思った。
こんな質問をされるのも、無理は無い。
料理の世界で生きていれば、多かれ少なかれ、皿洗い師との出会いはある。
けれども、彼が見てきた皿洗い師と自分達は、明らかに違う。
「……」
総料理長の問いに、弓徒は横目で喜一を見た。
喜一は黙ったまま、その視線に対して、頷いた。
隠す必要は無い。
喜一の目は、そう言っていた。
「……俺はそうですけど、こいつは違います」
「なにっ!? 協会じゃないだって!?」
弓徒が指差した方を向いて、総料理長は驚きの声を上げずにはいられなかった。
この世に存在する皿洗い師の、実に九割が協会に所属しているのが、昨今の世の中なのだ。
一般的に、野良やフリーと呼ばれる残りの一割の中に、これ程の実力者がいたとは……。
「俄かには信じ難いが……いや、しかし……あの洗い方は、むしろ、頷けるというものか」
総料理長の戸惑いと、納得の声が、静まり返った厨房に響いた。




