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皿洗い師・喜一 everyday dish washing  作者: O.S
第五章 The New world
183/184

いとも容易く

「皿洗いに必要なのは技術なのか?」


 こう問われた場合、主婦であれば「はい」と素直に答えるだろう。

 それは間違いではない。


 しかし、皿洗い師にとって——否、意志の力を扱える領域に入った者にとって、それは真実ではなくなる。


 意志の力は技術を凌駕し始める。

 だが無論、自分にそれが出来ると確信しなければそれは可能にはならない。

 故に確信が持てるまでは技術を磨く必要がある。


 一線を超えた瞬間、初めて人は真の皿洗いに到達する。


「——」


 それは偶然であったかもしれない。

 無我夢中であったが故に運良く滑り込めた隙間だったのかもしれない。

 けれど、弓徒は確信を得た。


「我、洗浄自在也」


 七枚洗えたのであれば九枚洗う事も可能——。

 そして、弓徒に出来たのであれば、隣でその様子を見ていた虎子に出来るのもまた道理。

 格下に出来る事が自分に出来ないわけがない。

 尊大とも言えるその自我が、容易く彼女に壁を超えさせた。


 かつて絶技と呼ばれたその技は過去のものとなり果て、新たなる境地へと足を踏み入れる皿洗い師たち……。


 いとも容易く、世界は変革を迎え始めた。

 

 

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