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皿洗い師・喜一 everyday dish washing  作者: O.S
第五章 The New world
172/184

神について思考する者達

 皿を洗うとはどういう事なのか?


 新しき世界に於いて、この問いに答えられる者は存在しない。


 しかし、この問いに対する答えが無いが故に、彼らは狂おしいまでに皿を洗いたいと願っている。


 そこには「皿を洗えば神に成れる」という迷信によって生じた下心が確かに存在している。

 だが、彼らはその先を想いふと必死に成って皿を洗おうとしていた手を止める。


「何故、自分は神に成りたいのか?」


「神に成って何を為したいのか?」


 過ぎる問い。

 そして思考する。


 神はこれまで何をしてくれた?


 皿を洗ってくれているだけではないのか?


 とすると、神になっても為す事は皿を洗うという事だけしか無いのではないか?


 彼らは思考する。

 見果てぬ夢。

 かつて誰も成し遂げた事の無い偉業を達成したあかつきに得るものとは一体何か? という事について。

 

 思考して、その果てに彼らは手を止める。


 何も無いのでは無いか? と。


 大勢が、手を止めた。


 だが、それでも皿を洗おうとする者達も少ないが、いた。

 

 皿を洗いたい。


 神に成りたいのではなく、ただただ、自らが生み出した汚れを自らの手で洗いたいと願う者達。


 正当なる輪廻を実現させようとする者達……。


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