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皿洗い師・喜一 everyday dish washing  作者: O.S
第五章 The New world
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心の闇に光

 とある国で飢饉が起こった。

 伝染性の病が野に生える植物を侵し、生き物は食糧を失った。

 結果、戦乱の世が幕を開けた。


 生きる為に、食う為に。

 他者を害し、利を貪る。

 必死に。


 その最中でも、僅かな食事を食べる際に使った皿は洗われた。


 心に闇を抱いた者が呟いた。


「何故神は皿を洗うだけなのか? 何故病を鎮めてくれないのか? 何故争いを止めてくれないのか?」


 皿を見ながら、思った。


 何故、皿を洗うだけなのか?


 この問いに答える者はいない。


 しかし、この世のものとは思えぬ程に美しい皿を見ていると、こうも思うのだ。


 これが生きるという事なのか、と。


 生きるという事は綺麗事ではない。自身が生きる為に他者を食らう。そうして生は続いている。食事の際に皿が汚れるのはそういう事を示している。では、その皿が勝手に洗われるとはどういう事なのか?


 それは、救済を示しているのではないか?


 生ある者はみな等しく汚れている。だがしかし、その汚れを神は落としてくれる。

 つまりは、皿を洗う事で神は「其方は祝福されている」と暗に告げているのではないか?


 ……勘違いでも構わない。

 心の闇に光を感じて、その者は立ち上がった。

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