神に問う
荒野の果てで、かつて神学者だった者が叫んだ。
「何故、神は我々をお創りになったのか?」
神と称される存在はその問いに答えない。
「我々に何をして欲しいのか? 何をさせようというのか? 我々は何の為に生み出された存在なのか?」
答えない。
荒野に叫び声が虚しく吸い込まれていく。
「何故、神は皿を洗われるのか?」
答えない。
「何故、食事を食べた際に使われた物だけを洗うのか? 何故、衣服を洗わないのか? 何故、罪を犯した者を清めないのか? この世に蔓延る悪を何故その力で以って一掃し給われないのか?」
答えない。
「洗われた皿から、我々は何を読み取ればいいのか? 何を読み取るべきなのか? 今一度問う。そこにある真意とは何なのか? 皿を洗う事により、我々に何を指し示そうというのか?」
神と称される存在からの答えはない。
胸の内を吐き出したその者は、そして笑った。
「問うて答えが返ってくるのであれば、神学者などいらぬか」
これは考え続けなければならない事なのだ。その者はそう結論付けて、荒野を歩き始めた。
一歩、一歩。
思考しながら歩いた。
洗われる皿について、考えながら。




