宇宙
全ての皿を洗ったはずだった。
地球上にある、全ての。
それで終わりとなるはずだった。
事実、かつては己の師であった唐馬歩すらも、それで負けを認めた。
だというのに——。
喜一は、まだ皿を洗っている。
在膳にはこの状況は理解が出来なかった。
ありえない事象であった。
故に、問わずにはいられなかった。
「貴様——どこから皿を!?」
「宇宙」
短く、喜一は答えた。
宇宙……。
即ち、暗き世界の果てである。
ありえない——とは言わない。
この広い宇宙の中で、知的生物が存在する可能性はある。
しかしそれを喜一が知覚しているのだとしたら、一体どれ程の世界を観ている事になるのか?
皿を持ってくるというと簡単に聞こえるが、皿の存在を知覚しておかなければならない。
在膳は、これまで宇宙に目を向けた事など無かった。
宇宙の果てに生命が存在する可能性を理解しておきながらも、地球人類が最も進んだ種族だとばかり思っていた。
……だが、それを傲慢だと責める事は出来まい。
何故なら在膳の境地に辿り着いた者など、彼以外には存在しなかったのだから。
自らが地球人類で最も進んだ存在であり、この宇宙に於ける全能の存在であると思っていたのだ——今までは。




