合理の刹那に
皿を洗う。
皿を洗う。
皿を洗う。
ただひたすらに皿を洗う。
対峙する二人は無言。
流れる水と、皿が元の空間へと戻される際の、空気の揺れる微かな音。
この場にはそれだけしかない。
在膳九龍からすれば、これは昨日の繰り返しに近い。
向き合っただけで、プレッシャーで、心折れぬ相手との皿洗い。
強者との皿洗い……。
しかし在膳にとってただの強者とは取るに足らぬ相手である。
初手より全力。
速攻の絶技・流星九矢。
それにより洗われる無数の皿を見ても尚動じる事の無い相手でさえも、彼にとってはどうという相手では無い。
褒める事も無く、貶す事も無く。
そして認める事も無い。
それで折れぬのであれば、より多くの皿を洗うのみ——と、合理的に思考する。
それが在膳九龍であり、それを実行出来るのが在膳九龍である。
故に、この勝負は一時の間も無く決着する——。
どれだけの修行を積もうとも、絶対に超えられぬ壁は存在する——。
それが全ての人類にとって、在膳九龍であったというだけの事——。
この世の全ての皿を刹那に洗い清め、全ては終わりへと収束する——はずだった。
「——何!?」
この日——否、超越者となってから初めて、在膳は驚愕の声を発した。




