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世界の全ての
在膳はもはや明日の事など考えてはいなかった。
喜一の事は記憶の隅に僅かに止めていたが、その僅かな隙間すら消えた。
「これより世界の全ての皿を洗う。そうなれば、貴様も気付かざるをえまい。私との実力の差に」
「……」
数で競う。
単純だが、残酷なまでに効果的な演出である。
どれだけ皿を美しく洗い、技術は互角だと自分に言い聞かせても、そこに圧倒的な数の差が発生すれば、認めなければならない。
相対する者は、自分よりも上の力を持っている、と。
こうなると、唐馬として質だけではなく数で勝負しなければならなくなるが、そうして相手の土俵に入ってしまえば、それこそ在膳の思う壺である。
在膳の速度に追いつける者はいない。
唐馬はそれを悟ってしまっている。
だからこそ、海神の槍を駆使し美しさに重きを置いていた。
「……」
「打つ手が無ければ、負けを認めろ。かつての協会のトップとして、そうする方が潔いのではないか?」
「……洗ってみなければ、わからないよ」
「ならば、わからせてやろう」
「——」
そして、世界が震えた。




