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共に神技を尽くす
決闘に於いての敗北は己自身が決める。
そこに見苦しさはない。
負けを悟った時が、負けである。
で、あれば。
一瞬で九枚もの皿を洗う在膳九龍を前にして未だ心折れぬ唐馬歩とは一体何者なのか?
これに対する答えは一つ、彼はかつて協会のトップに君臨していた者。
一人の皿洗い師として、かつて頂点に昇り詰めた男。
——ならば、そのプライドが彼に膝をつかせぬのか?
これに対する答えは、否、である。
プライドなどという生半可なものではない。
彼の実力は在膳九龍に拮抗している。
速さこそ神速の領域にある在膳九龍には及ばないが、その正確さ、仕上がりは在膳のそれを凌いでいる——。
故に、総合的に見て、互角。
つかず離れずという言葉は正確ではない。
共に等しく神の領域へと踏み込んだ者同士、それは理解している。
離れた時は、それが己が相手に負けた時なのだ、と。
共に神技を尽くした先に、結果がある……。
では、流星九矢に匹敵する唐馬歩の神技とは何なのか?
これに対する答えもまた、ただ一つ。
海神の槍である。




