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超紐理論の説明は必要ない
通常皿洗い師同士が行う決闘では係の者が近場から皿を集めて皿洗い師の下へと運搬する。
しかし、真の皿洗い師に於いてはそのような事を行う必要がない。
何故なら、皿洗い師の下に洗われるべき皿がやってくるからである。
やってくると聞くと、何やら皿に手足が生えて百鬼夜行の如く歩いてくるところが想像されるが、そうではない。
皿は空間を飛び越えて皿洗い師の手元、あるいはシンクの中に出現する。
そして洗われると、即座に元の持ち主のところへと飛ばされる。
皿が現れては消え、現れては消える。
物理学的な見地から考察すれば、超紐理論によってこの現象が起こっていると考えられるが、皿を洗っている当人達は、何故このような事が起こるのかについて考えた事などない。
皿洗い師の下に、洗われるべき皿が現れるのは当然である、と彼らは思っている。
そこに深い理由を求めたりはしない。
彼らは理由を求める事に意味を感じてなどいない。
ただ皿を洗うのみ。
相手が負けを認め、心の音が折れる音が聞こえる、その時まで。




