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皿洗い師・喜一 everyday dish washing  作者: O.S
第四章 The end of the world end
138/184

現出

「無限白皿行・幻想を始めたようだ」


 男が、皿一つ無いシンクの前で呟いた。


「本当に明日、この私と闘うつもりでいるとはな」


 言葉の響きの中には、呆れも、蛮勇を嘲笑している様子も無い。

 そこにはどのような感情も込められていない。

 路傍にある石を見て何かを想う者がいないように、男は何も想っていない。

 

 一方で、その男と対峙している男が言った。


「本当に明日で良かったのか?」


 この男もまた、無に等しい空気を纏い、同じく皿一つ無いシンクの前に立っている。

 問いは事実を確認する為に口にしただけ——。

 それ以上でもそれ以下でも無い。


 これに、相手も問いを発した。


「何故そんな事を聞く?」


「明日は来ない——そう考えはしなかったのかね?」


 問いへの問いへの問い。

 それを発した瞬間、男——唐馬歩からうまあゆむの纏う無が消失した。

 無が無くなるとはおかしな表現ではある。

 そこに、強烈な気配が現出したと言うべきか。


「笑止」


 これを受けても、対する男——在膳九龍は、無であった。

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