言って貰うネ
「どうだったアルか?」
気配が消えて一拍置いて、蛇が口を開いた。
「どう、とは?」
「在膳九龍と話してみて、何を感じたアルか?」
「何も感じなかったし、何もかもを感じたとも言える」
「つまり、よくわからなかったということネ?」
「そうだな」
即答した喜一の前で、蛇は小さく微笑んだ。
「それでいいネ。一度の会話で相手を知るなんて、不可能だからネ」
「……」
「で、勝負は明日になったわけアルけど」
「俺は勝てると思うか?」
「それをミーに問うということは、自信がないと解釈していいアルか?」
「わからない」
「わからない? これはこれは……いい答えネ」
破顔一笑。
蛇は声を上げて笑い始めた。
喜一はその様子にこれまで微動だにしていなかった表情をようやく動かした。
「何故笑う?」
「在膳九龍を感じて、勝てるかどうかわからない言ったのはユーが初めてネ」
「……」
「大抵の人は、負ける思うネ」
「……だが、大抵という事であれば、いるのだろう?」
「もちろん、いるヨ。勝てる。と断言する人」
蛇は静かに言って、そして両の掌を合わせた。
合掌。
「ユーにも言って貰うネ」
「——!」
空気の変化を、喜一は感じた。




