皿洗い師なのだから
「む——師匠か」
突如として出現した女——かつて稽古をつけられ、その気配を知る弓徒としては背後を取られた程度で驚きはしない。
一方で、斗真は唖然としていた。
「え? どちら様? というかどこから入ってきたん?」
「ドーモ、お嬢サン。ミーは雷乃蛇アルよ。気脈を利用した縮地法を使ってお邪魔したネ」
常識的な質問に対しての、常識人が少しもわからぬ言葉での返答に斗真は「あ、そですかー」と半ば放心状態で言うしかなかったので、続きは弓徒が引き継いだ。
「師匠はいつも突然現れますね」
「神出鬼没ネ」
「普通に玄関から入ってくればいいのに……んで、なんか用すか?」
「ユーは世界を救う気はアルか?」
「んー……どうすかねぇー」
「アルか? ないアルか?」
「あるかないかで言えばあるかなぁ……でもそのビックバンとやらを防ぐのは、俺じゃなくて喜一がやりますよ。と言うか今の俺じゃあ力不足でしょ」
「力量はまあ修行で上げられると思うアルが……ユーの推す喜一はわからない言ったネ」
「それは師匠の頼み方が悪いっすよ」
「What?」
「俺達は——皿洗い師なんですから」
白い歯を見せて、弓徒は笑った。




