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「喜一君からさぁ、例の話し聞いたぁ?」
昼と呼ぶにはまだ早い時間。
水戸斗真が、やる気のない女の代表といった風な、気怠げな調子で声を掛けた。
「世界が滅びるってやつの事か?」
その声を受けたのは、岩の如き量感を持つ巨漢、華弓徒である。
「そうそう。それ」
「それがどうかしたのか?」
「どうかしたのか? って……世界が滅びるんやろ? ヤバくない?」
「まあ、ヤバいかもな」
「いやいやいやいや! かもなじゃないって! ヤバいでしょ!」
「うーむ……」
「いやそこ悩むとこやないから!」
弓徒は緩やかに皿を洗っている。
端から見れば遅い——が、その実無駄な動きは一切なく、着実に皿が美しくなっている。
思考しながらも、皿洗いに一点の乱れもない。
「世界滅んじゃったら色んな人が困るでしょ」
「世界が滅んだら困るとか困らないとかいう次元の話しも無くなる」
「それはそうやけど……でもうち、まだやりたい事とかいっぱいあるんやけどなぁ……」
「うーむ……」
大局的に見れば何も気にならない。
けれど個人間で思うところはある。
故に弓徒は思考していた。
その時——だった。
「ユーはどうするアル?」
突如、背後から声が聞こえたのは。




