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光
水戸が回想している間に、皿洗いは終わった。
「終わりだ。報酬を貰おう」
「飯な。ほら、舞。飯、行くぞ」
「……」
「ん? 舞? どしたん?」
呼び掛けても俯いたまま、反応のない舞を怪訝に思い、水戸が肩を揺すろうとした、
その時、
「あ、あの!」
舞が、不意に顔を上げた。
「き、喜一さん……!」
「何だ?」
「え、えっと……その……」
舞は躊躇うような、恥ずかしがっているような。
そんな挙動不審な様子だったが……数秒後、その瞳をまっすぐに喜一へと向けて言った。
「今日の夜は……うちに……うちで、皿洗いをしてくれませんか?」
「そこに皿があるなら、行こう」
「あ——ありがとうございます! よろしくお願いします!」
「おーい。飯、どこ行く?」
早くご飯が食べたいと言う水戸をそのままに。
喜一の即答に、舞は顔を輝かせた。
そこにはもう、気怠気な少女の面影は残っていなかった。
そこにいるのは、皿洗いを求める一人の女性だった。
泣き腫らした両の瞳には、憑き物が落ちたかの如く爽やかな光が宿っていた。




