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皿洗い師・喜一 everyday dish washing  作者: O.S
第四章 The end of the world end
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砂漠の戌

 砂の嵐が吹く国に、その男はいた。

 細かい砂の上に胡座を掻き、手には皿とスポンジ、傍には僅かな水の入った器。

 器に入っている水は、雨水を溜めたものである。

 雨の少ないこの国で、皿を洗うのに水を使うというのは暴挙に等しいが、男のその行動に苦言を呈する者はいない。

 男の服は、砂で汚れている。

 目に掛かる程に長い髪もまた、汚れている。

 しかし、皿を洗っている。

 男の身なりに苦言を呈する者もまた、そこにはいない。

 そこには男一人しかいない。

 ただ一人で、皿を洗っている。

 スポンジにほんの少量の水を吸わせ、皿に滑らせる。

 皿に輝きが戻る。

 その時、風が吹き、砂が皿に付着した——かと思われたが、皿は美しい白さを保ったままである。

 幾度風が吹いても、皿に変わりはない。

 むしろ男が手を動かす度に、皿は輝きを増していく。

 一方で、男は砂に塗れてゆく。

 不可思議な光景であった。

 常人からすれば、何らかの奇跡が起こっているとすら思える。

 だが、この男——十二支が一人、戌を司る男——犬飼ブラウンからすれば、この程度は常なる皿洗いであった。


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