118/184
鉄塊の男
彼らの予想は当たっていた。
仮面を付けた謎の女は弓徒の控室にいた。
しかし、控室には先客がいた。
力尽き救護室に行った弓徒の代わりにやってきたのは、一人の男。
さながら、鉄塊だ。
厳しい顔。
腕も足も胴体も太い。
そして放つ気は硬質。
銃弾が当たっても傷一つ付けられない……これは比喩ではない。
真実、男の極限まで鍛え抜かれた肉体を撃ち抜くには対戦車砲クラスの徹甲弾でも足りない。
「どういう事だ?」
低い声を、男が発した。
死を連想する程に冷たい声。
けれど女は飄々としている。
「不満あるアルか?」
「不満は無い。良い決闘だった。あれだけの皿洗いを見れば、皿洗い師の需要は高まるだろう」
「ミーもそう思うアルね」
「何故だ?」
「ホワイ?」
「何故あのような事をした? 流血を避けたかったのか? まさか協会のイメージアップを図ろうとしていたわけではあるまい」
「……そうね」
「紅虎か? やつを鍛える為か?」
「正解ネ。半分だけアルだけど」
「何?」
「若手の育成というやつアルよ」
「何の為だ?」
「無論、あなたを倒す為——アル」




