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皿洗い師・喜一 everyday dish washing  作者: O.S
第三章 battle study・紅
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ラストスパート

 打って変わって逆転した戦法。

 激しく筋肉を律動させ皿を洗う弓徒。

 静かに淡々と行儀よく洗う虎子。

 

 幾百幾千の皿が次々と決闘の場に運び込まれ、シンクに流し込まれるも、次の瞬間には洗われ、汚れはいわんや一滴の水分すら残さずに美しく磨かれて、ラックに鎮座させられる。

 

 その様はマラソンのラストスパートのようだった。

 

 激動。

 命を燃やし尽くすかの如き洗浄。

 

 観客は固唾を飲んで二人の勝負の行方を見守っていた。

 自然、腕に力が入る。

 応援の声を上げる者もいた。

 ドラの音が響く。

 太鼓が叩かれる。

 手拍子も。

 誰も彼もがハイボルテージに到達していた。

 唐馬と喜一ですら、握った拳に力が籠もっていた。

 

 ここで決まる。

 

 弓徒が押し切るか。

 虎子が自身を律し続けるか。

 気がせめぎ合っている。

 爆発寸前の風船の如き脆さで。

 ここにきて、二人は互角であった。

 いや、そのような状況を弓徒が作り出したのだ。

 このままいけば、あるいは……。

 唐馬ですら、そう思った。

 

 ——その時、だった。

 不意なる終わりが訪れたのは。


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