実力勝負
「上手くやってたつもりだったが……ここまでか……」
弓徒は深く息を吐き出した。
バレた。
謎の女から教わった合気。
周囲と他者の気を利用し、自らのものとして合一させる事により、相手が強ければ強いほど自らの気も大きくなる術。
原理は単純だ。
ポジティブな人といればポジティブに。
ネガティブな人といればネガティブになるのと同じ事。
正であれ負であれ、人はより強い力に引っ張られるもの。
それを禹歩と合わせる事により、自らの気が負に引かれぬよう清浄に保ちつつ、気の出力のみを利用する。
そういう技であった。
それが、見抜かれた。
そして対応された。
この技を破るのは簡単だ。気を発さなければいいのだ。
無用な気を発さずに、黙々と皿を洗う。普段通りの皿洗いを心がけるだけでいい。
決闘とか勝負事とか、そういう事に向いていた意識を皿洗いにだけ向ければいい。
そうすれば、溢れた気が利用される事はない。
こうなってしまっては、小手先の技は通じない。
故に、
「ここからは……俺自身の皿洗いをするしかねぇ……」
単純な実力勝負。
「やってやるぜ……」
不敵に、弓徒は笑った。




