ネタバレ
皿洗いに於いて余計な事を考えた事はない。
皿を洗う。
それだけで世の全ては何事もなく運ぶ。
けれど、今は考えるべき時であると本能が告げている。
もう七日も皿を洗っているのだ。
流石にこれは——
「おかしいなぁ」
虎子は呟く。
「強い……のかなぁ?」
違和感。
自分より数テンポ遅れているものの、食らいついてくる。
戦いの中で成長している?
いや、これはそういうものじゃない。
これはまるで自分と皿を洗っているかのよう……。
「んー?」
同じ……?
そうなのか?
返ってくる圧力は同等のもの。
これは知っている。
「尾を食う蛇……」
で、あれば——
試しに、力を抑えて洗ってみる。
すると——
「ぐっ……!」
弓徒のペースががくりと落ちた。
「やっぱりね」
虎子は面白そうに笑った。
「あんたの師匠は蛇だったわけだ」
手こずるはずだ。
なぜなら蛇は——あの女は——十二支の中でも、龍に次ぐ実力を持っていると言われている者だから。
「でも、ネタが割れれば怖くはないかな」
謎は解けた。
ここからは、もう何も考える必要は無い。
ただ皿を洗うのみ。
「私って結構強いからさ、素の勝負じゃ負けないよ?」




