勝てるんじゃないのぉ?
油断していたわけではない。
自分はいつも通りだった。
ならば、相手が凄いのだ。
勝負が出来ている、この紅虎子と。
「面白いじゃん」
瞬間、放たれた強烈な気。
「む——」
「ここから、更に——」
会場の中でも腕に覚えを持つ者にしか感じ取れない研ぎ澄まされたプレッシャー。
唐馬と喜一は虎子がまだこれ程の余力を残していた事に驚き、思わず声を漏らした。
一方で当麻は夢中でポップコーンを食べていた。
当麻は不思議だった。
唐馬と喜一のリアクションは大きすぎるのではないか? と思っていた。
なぜなら、弓徒が戦えているからだ。
もう負けそう。
相手は強い。
そう繰り返されるが、弓徒は皿を洗い続けている。
確かにフラフラで危なっかしいが、皿はきっちり洗えている。
「なぁー? これ勝てるんじゃないのぉ?」
のんびりと言ってみた。
隣の二人は無言で、食い入るように決闘の場を凝視している。
「ちょっとジュースとお菓子買ってくるわ〜」
なんだかまだまだ長くなりそうなので、彼女はお菓子を買いに席を立った。
彼女の読みは正しかった。しかし、甘かった。
なぜならこの戦いは、ここから七日間続いたのだから。




